広上淳一(指揮) 富士山静岡交響楽団

旬の人気ピアニストが凱旋! 壮大に描く名作2篇 

 富士山静岡交響楽団(静響)は静岡交響楽団と浜松フィルハーモニー管弦楽団が合体して2021年4月に発足、県内唯一の常設プロオーケストラとして大小合わせ年間150回にのぼる演奏会を行っている。高関健は2018年からミュージック・アドヴァイザーとして旧静響の飛躍的な成長に貢献、合体を機に首席指揮者に就任した。静響は今年4月公益財団法人の認可を受け、財政基盤の強化と更なる演奏力の向上に向けて大きく前進を続けている。

 2022-23シーズンも実力ある指揮者やソリスト、魅力的なプログラムが発表されているが、6月の定期演奏会は一段と豪華。ピアノは、2015年浜松国際ピアノコンクール優勝&聴衆賞、21年ショパン国際ピアノコンクール第2位&ソナタ最優秀演奏賞を受賞したアレクサンダー・ガジェヴ。指揮は静響と初共演となる広上淳一。曲目もチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番とリムスキー゠コルサコフの交響組曲「シェヘラザード」という名曲が並ぶ。ガジェヴはショパン・コンクール直前のリサイタルを聴いたが、従来のスタイルにとらわれない新鮮な解釈と美しい音色、ダイナミックでスケールの大きな演奏に圧倒された。壮大かつ抒情性に富むチャイコフスキーの協奏曲でもガジェヴの特質が発揮されるだろう。京都市交響楽団を日本のトップ・オーケストラに導いた広上の手腕と人間的な魅力は誰もが知るところ。静響の聴衆にとっても待望の登場となる。指揮者とオーケストラの力量が問われる「シェヘラザード」への期待は大きい。
文:長谷川京介
(ぶらあぼ2022年6月号より)

第111回 定期演奏会
2022.6/25(土)14:00 静岡市清水文化会館マリナート
6/26(日)14:00 アクトシティ浜松(中)
問:富士山静岡交響楽団054-203-6578 
https://www.shizukyo.or.jp