2022年度 武満徹作曲賞 受賞者決定! 第1位に室元拓人

 東京オペラシティの同時代音楽企画「コンポージアム」の一環として行われていた、2022年度武満徹作曲賞本選演奏会(審査員:ブライアン・ファーニホウ)が、5月29日 東京オペラシティ コンサートホールで開催され、同日結果が発表された。ノミネートされていた4作品から第1位に選ばれたのは、室元拓人の「ケベス ─ 火群の環」。昨年の根岸宏輔に続き、日本の作曲家が第1位を獲得することとなった。

授賞式より 左から:アンドレア・マッテヴィ、メフメット・オズカン、
ブライアン・ファーニホウ、室元拓人、オマール・エルナンデス・ラソ
©大窪道治 写真提供:東京オペラシティ文化財団

 武満徹作曲賞は、1人の作曲家のみが審査に当たるというユニークさで世界的に知られる。今回は、イギリス出身で現代を代表する作曲家・音楽思想家であるブライアン・ファーニホウ(1943- )が審査員を務めた。ファーニホウ自身は、年齢に伴う健康面の懸念から来日が叶わなかったが、かつて教鞭を執っていたアメリカのスタンフォード大学と東京オペラシティをつなぎ、高音質・高画質の通信によって本選の演奏をリアルタイムで聴き、リモートでの審査を行った。

 今回は27ヵ国から79作品の応募があり、そのうち4作品が譜面審査を通過し、本選演奏会で演奏された(指揮:篠﨑靖男、演奏:東京フィルハーモニー交響楽団)。結果は以下の通り。

室元作品を演奏する篠﨑靖男&東京フィル
©大窪道治 写真提供:東京オペラシティ文化財団

第1位 室元拓人(日本) ケベス ─ 火群の環
Takuto Muromoto (Japan) KEBESU – Circle of Flame for orchestra
第2位 アンドレア・マッテヴィ(イタリア) 円の始まりと終わりの共通性
Andrea Mattevi (Italy) Comune il principio e la fine del cerchio for symphonic orchestra
第3位 オマール・エルナンデス・ラソ(メキシコ) 彼方からの冷たい痛み
Omar Hernández Lazo (Mexico) Inflamado de una álgida lejanía
第3位 メフメット・オズカン(トルコ/ブルガリア) 管弦楽のための間奏曲《無秩序な哀歌》
Mehmet Ӧzkan (Turkey/Bulgaria) Intermezzo for Orchestra “Anarchical Lament”

室元拓人
©大窪道治 写真提供:東京オペラシティ文化財団

 室元は、1997年京都市生まれ。昨年の日本音楽コンクール作曲部門第3位入賞などの入賞歴を持つ。現在、東京藝術大学大学院音楽研究科修士課程作曲専攻に在学中。作曲を平松良太、小倉啓介、鈴木純明の各氏に師事。フラックス弦楽四重奏団、アンサンブル・アンテルコンタンポラン、東京フィルなどの団体に作品が演奏されるなど、注目の若手作曲家の一人。今回は、自身3作目となるオーケストラ作品で、大分県国東半島に伝わる神事に着想を得た「ケベス ─ 火群の環」が「立体音響的なオーケストラの配置を想像力豊かに使い、ドラマティックなやりとりと高い透明性を実現している」として、高い評価を受けた。

©大窪道治 写真提供:東京オペラシティ文化財団

【On Air 情報】
◎コンポージアム2022 「2022年度武満徹作曲賞本選演奏会」
NHK-FM「現代の音楽」
2022.7/17(日)、7/24(日)午前8:10〜 9:00(2回にわけての放送)
*放送日は変更になる場合あり

●2023年度審査員:近藤譲(日本)

武満徹作曲賞
https://www.operacity.jp/concert/award/