吉松作品の詩情と旋律美あふれるベートーヴェン
2022〜23年のシーズンがスタートした新日本フィルハーモニー交響楽団。1972年に楽団が創設されてちょうど50周年を迎えるシーズンであり、多彩な指揮者、ソリスト陣が登場する。すみだトリフォニーホールで金曜日と土曜日の午後に開催される「すみだクラシックへの扉」は、クラシック音楽の魅力を様々な視点から楽しんでもらうために、誰もが知る名曲から、知られざる傑作までを取り揃えて、クラシック音楽に初めて触れるという方にもオススメできるシリーズである。
6月公演では、ヴァイオリン協奏曲の歴史の中で最も音楽的な深さを持ち、演奏も難しいと言われるベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲に周防亮介が挑む。彼は海外ではヴィエニャフスキ国際(審査員特別賞を受賞)、ダヴィッド・オイストラフ国際などのヴァイオリンコンクールで入賞し、国内でも日本音楽コンクールで入賞するなど、その美しい音、豊かな音楽性が注目を集めてきた若手ヴァイオリニストである。
そして、タングルウッド音楽祭で小澤征爾に師事し、現在はドイツで活躍するキンボー・イシイが指揮台に上がる。ベートーヴェンで周防と共演し、さらに現在も積極的に活動を続ける作曲家・吉松隆の「鳥は静かに…」と交響曲第6番「鳥と天使たち」をとりあげる。独特の透明感と静けさを持つ吉松の世界を、すみだトリフォニーホールの空間で味わっていただきたい。
文:片桐卓也
(ぶらあぼ2022年6月号より)
すみだクラシックへの扉 第8回
2022.6/17(金)、6/18(土)各日14:00 すみだトリフォニーホール
問:新日本フィル・チケットボックス03-5610-3815
https://www.njp.or.jp