ワールドワイドのヴィオラコンクール、待望の再開
ヴィオラの祭典、「ヴィオラスペース」の時期が近づいてきた。1992年に始まった本イベントは今年第30回の記念の節目を迎え、第5回「東京国際ヴィオラコンクール」を開催。本当に久しぶりに国際色豊かなイベントが実現する見込みとなった。2009年開始の本コンクールは3年に1回の開催だったが、今回は2018年以来の機会となる。お気づきのように、本来は2021年が第30回とコンクール第5回になるはずだったが、20年が残念ながら延期になったことで、1年ずつ後ろにずれたのである。
コンクールについて、前回までヴィオラスペース創始者の今井信子が務めてきた審査委員長を、今回から現在世界最高のヴィオリストのひとりであるアントワン・タメスティが務めることになった。新たな節目を迎えたコンクールは、10日間にわたって4つの審査段階があり、いずれも観客入りで行われる予定。それぞれでバッハ、ヒンデミット、ブリテンの無伴奏曲など、ファイナルはブラームスのソナタとウォルトンの協奏曲といったヴィオラの名作で、俊才たちがその腕を振るう。審査の緊張感に、活動制限のあった1年間の思いも加わり、聴きごたえのある時間になるのは間違いない。
また、期間中には2回のガラ・コンサートがあり、審査委員をはじめ内外の名手や若手、桐朋学園オーケストラも参加。無伴奏から協奏曲まで、古典から現代新作まで、幅広い曲目でヴィオラの底知れない魅力をたっぷり味わえる。中でもやはりタメスティの演奏は要注目だ。
文:林昌英
(ぶらあぼ2022年5月号より)
2022.5/26(木)~6/4(土) 飛行船シアター(旧・上野学園石橋メモリアルホール)、紀尾井ホール、TCMホール(東京音楽大学 中目黒・代官山キャンパス)
問:テレビマンユニオン03-6418-8617
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