新国立劇場 グルック《オルフェオとエウリディーチェ》(新制作)

バロック音楽とダンス、それぞれの才人が創る「愛」の世界

 亡き妻を連れ戻しに冥界へ降りていく詩人オルフェオ。ギリシャ神話のオルフェウス伝説を題材にしたグルック作曲《オルフェオとエウリディーチェ》(全3幕、イタリア語上演)が、新国立劇場で5月に新制作で上演される。これは、大野和士オペラ芸術監督が重点を置いているバロック・オペラ・シリーズの第1弾で、指揮にバロック音楽のスペシャリスト鈴木優人、演出にダンサー、振付家として国際的に評価の高い勅使川原三郎という才人同士の顔合わせが実現するのが大きな話題だ。勅使川原は、内外でオペラ演出に携わってきたが、例えば2015年にパリのシャンゼリゼ劇場で初演された藤倉大作曲の《ソラリス》では、自ら出演したほか、台本・美術・照明・衣裳・振付も担当し、トータル・アートとしての舞台作りに定評がある。

 ハンブルク・バレエ団のアレクサンドル・リアブコや、勅使川原と共働するKARASの佐東利穂子ら俊英ダンサーたちの出演も決定。リアブコはキーウ出身で、昨夏、東京芸術劇場で初演された勅使川原振付『羅生門』で異彩を放ったのが記憶に新しい。歌手陣も、エウリディーチェにヴァルダ・ウィルソン、オルフェオにローレンス・ザッゾ(ともに同劇場初登場)、アモーレに三宅理恵と実力派が揃う。

 ピナ・バウシュやジョン・ノイマイヤーら巨匠振付家たちを魅了してきたこのバロック・オペラの名作に、勅使川原がどのような新風を吹き込むか期待は尽きない。
文:渡辺真弓
(ぶらあぼ2022年5月号より)

2022.5/19(木)19:00、5/21(土)14:00、5/22(日)14:00 新国立劇場 オペラパレス
問:新国立劇場ボックスオフィス03-5352-9999 
https://www.nntt.jac.go.jp/opera/