チョン・ミョンフン(指揮) 東京フィルハーモニー交響楽団

フランスもののスペシャリストによる名曲プロが実現

チョン・ミョンフン (c)上野隆文

 チョン・ミョンフンとフランス音楽との結びつきは深い。オペラ座バスティーユ音楽監督時代は、バスティーユ管とのベルリオーズ「幻想交響曲」(1995年度レコード・アカデミー大賞受賞)や、メシアン監修の「トゥーランガリラ交響曲」などの録音が大絶賛された。音楽監督(現名誉音楽監督)を務めたフランス国立放送フィルとの度々の来日公演では、今回の東京フィルとの演目、フォーレの組曲「ペレアスとメリザンド」、ラヴェル「ダフニスとクロエ」第2組曲、ドビュッシーの交響詩「海」、ラヴェルの管弦楽のための舞踏詩「ラ・ヴァルス」をすべて指揮しており、色彩感あふれるしなやかで力強い演奏で聴衆を魅了した。また、「海」と「ラ・ヴァルス」はソウル・フィルとの録音の評価も高い。東京フィルとのビゼー「歌劇《カルメン》」(2020年)の燃えに燃えた演奏には心底感動した。

 チョン・ミョンフンが東京フィルのスペシャル・アーティスティック・アドバイザーに就任してから今年で21年。この間数多くの名演を積み重ね、2010年桂冠名誉指揮者、16年名誉音楽監督に就任、お互いの信頼はさらに深まった。今年1月に予定されたマーラー「交響曲第3番」はオミクロン株に係る新規入国制限で中止となってしまったが、入国緩和となりチョン・ミョンフンと東京フィルの共演が久しぶりに実現する。マエストロが「日本の家族」と呼ぶ楽員たちのコンサートに臨む気迫がいかほどか想像に難くない。昨年のブラームス交響曲全曲と同じく、忘れがたいコンサートになることだろう。
文:長谷川京介
(ぶらあぼ2022年5月号より)

第968回 サントリー定期シリーズ
2022.5/18(水)19:00 サントリーホール
第146回 東京オペラシティ定期シリーズ
5/20(金)19:00 東京オペラシティ コンサートホール
第969回 オーチャード定期演奏会
5/22(日)15:00 Bunkamura オーチャードホール
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