飯森&日本センチュリー響によるハイドンの交響曲全曲録音企画の第14弾。中盤に差しかかり、手慣れた印象だ。様式感を押さえすっきりと聴かせる。ややアップテンポで心地よくスタートした「王妃」は、展開部でぐっと押しこんだかと思えば、さらっと引いて、コントラストが明快。フルートのチャーミングなオブリガート、しっかりとしたメヌエット、軽快なフィナーレとお手本のような演奏。タイトルにまつわる優雅なイメージも伝わってくる。シンフォニックで朗らか、創意に富んだ第23番、トランペットやティンパニが祝祭的な気分を盛り上げる第20番と、ハイドンの進化のプロセスも浮き彫りにする。
文:江藤光紀
(ぶらあぼ2022年4月号より)
【information】
SACD『ハイドン:交響曲集Vol.14/飯森範親&日本センチュリー響』
ハイドン:交響曲第85番「王妃」変ロ長調、同第23番 ト長調、同第20番 ハ長調
飯森範親(指揮)
日本センチュリー交響楽団
収録:2019年5月、いずみホール(ライブ)
オクタヴィア・レコード
OVCL-00778 ¥3520(税込)