2022年6月の海外公演情報

Wiener Staatsoper Photo by Dimitry Anikin on Unsplash

『ぶらあぼ』誌面でご好評いただいている海外公演情報を「ぶらあぼONLINE」でもご紹介します。海外にはなかなか出かけられない日々が続きますが、“妄想トラベル”を楽しみましょう!
[以下、ぶらあぼ2022年3月号海外公演情報ページ掲載の情報です]

曽雌裕一 編

【ご注意】
 新型コロナウイルス感染の影響により、本欄に掲載した音楽祭や劇場等の公演予定について、今後、重大な変更や中止・延期等の措置が施されて実際の公演内容と異なってしまう可能性も十分あり得ます。その点をご留意いただき、最新情報は必ず各音楽祭・劇場等のウェブサイトでご確認いただきますようお願いいたします。

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 最初に修正を一つ。先月号の本欄でウィーンで開催される「ムジークフェライン・フェスティバル:A!」の「A」の意味について、「ドイツ語の「Auftakt」(幕開き、序曲というような意味)をもじっているようだ」と記述したが、これは筆者の読み違えで、「オーケストラのチューニング音でもある「A」の音から調性に関わる発想を様々に広げるコンセプト」というのが本来の趣旨であった(趣旨全文はホームページに記述されている)。お詫びして訂正したい。

 さて、その「ムジークフェライン・フェスティバル:A!」。ラトルがヨーロッパ室内管を指揮してマーラー「大地の歌」の室内オーケストラ版を演奏するのが面白い。なお、この演目は、ルクセンブルクのフィルハーモニー(1日)、ケルンのフィルハーモニー(3日)、ハンブルクのエルプフィルハーモニー(7日)でも演奏される。その他の音楽祭として、まずは「ザルツブルク聖霊降臨祭音楽祭」。バルトリ出演のロッシーニ「セビリアの理髪師」はもちろん、古楽系のラルペッジャータ(プルハー指揮)やサヴァール指揮の演奏会など短期間(4日間)だが充実した内容。「ライプツィヒ・バッハ音楽祭」は、複数会場で11日間に147ものバッハ関連公演が行われる文字通り街がバッハ一色と化す音楽祭。ガーディナー、ルセ、コープマン、クリスティらの指揮やシフ、トリフォノフのピアノといった有名アーティストの出演もあれば、教会でのオルガン・リサイタル、合唱コンサートなど実に多彩な内容となっている。フランケン・ワインでも有名なドイツ・バイエルン州のウンターフランケン地区にあるバート・キッシンゲンとヴュルツブルクには、それぞれ「キッシンゲンの夏音楽祭」と「モーツァルトフェスト(ヴュルツブルク)」という魅力的な音楽祭がある。前者にはドイツ国内のメジャー・オーケストラが次々と客演するし、後者にはアンサンブル・ムジークファブリク(現代音楽系)、アンサンブル・レゾナンツ(ユンゲ・ドイチェ・フィルのメンバーにより結成)、ベルリン・ラウテン・カンパニー(ピリオド系)といったユニークな活動を行う団体が興味深い演目で登場する。

 もちろん6月といえば「ミュンヘン・オペラ・フェスティバル」。今年は2年前に亡くなったペンデレツキの「ルダンの悪魔」という意欲的な演目が予定されている。ちなみに毎年恒例の「ドレスデン音楽祭」や「ラインガウ音楽祭」、「フィレンツェ五月音楽祭」は、恐縮ながら、次号にて全体スケジュールを詳述することとしたい。本号では「フィレンツェ五月音楽祭」の6月分のオペラ公演のみ掲載する。6月はドミンゴが登場する。

 通常公演のオペラでは、ウィーン国立歌劇場のモンテヴェルディ「オルフェオ」(エラス=カサド指揮)、バルトリ主演のロッシーニ「チェネレントラ」、ベルリン州立歌劇場のプッチーニ「トゥーランドット」(メータ指揮)、ライプツィヒ歌劇場の「ワーグナー・フェストターゲ」、ミラノ・スカラ座のポンキエッリ「ラ・ジョコンダ」、パリ・オペラ座のラモー「プラテー」(ミンコフスキ指揮)、グノー「ファウスト」(ヘンゲルブロック指揮)、スポンティーニ「ヴェスタの巫女」(シャンゼリゼ劇場)、ボルドー国立歌劇場のモーツァルト「ダ・ポンテ三部作」(ミンコフスキ指揮)、フランドル歌劇場のシューマン「ファウスト」(ヘレヴェッヘ指揮)など、どれも要注目。オーケストラでは、ペトレンコ=ベルリン・フィルのツェムリンスキー「抒情交響曲」、ヴィオッティ指揮ウィーン響、オロスコ=エストラーダ指揮のコロンビア・ユース・フィル(ウィーンやケルンで公演)、ヤーコプス指揮フライブルク・バロック・オーケストラのヘンデル「エジプトのイスラエル人」、ロト指揮のケルン・ギュルツェニヒ管やレ・シエクルなどが面白い。ややダークホース的には、シュレキーテ指揮フランクフルト・オーパー&ムゼウム管も要注目。
(曽雌裕一・そしひろかず)

(コメントできなかった注目公演も多いので本文の◎印をご参照下さい)