【CD】ベートーヴェン:第13番&「大フーガ」/クァルテット・エクセルシオ

 日本を代表する名クァルテットによるベートーヴェンの弦楽四重奏曲全曲録音の完結編(オール日本人による達成は史上初との由)。長年の実演─特に2016年の全曲演奏会─を経ての最終録音だけあって、気負いなく、それでいて自信が漲った精緻かつしなやかな演奏が展開されている。特に楽章の相互バランスが絶妙で、単独で有名な「カヴァティーナ」も、後に差し替えられた終楽章も、流れの中でごく自然に耳に届けられる。「大フーガ」の鮮明な音の綾も実に見事。ベートーヴェン後期の深奥を明解に伝える名演にして、王道グループの現段階の集大成たる一枚だ。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ2022年2月号より)

【information】
CD『ベートーヴェン:第13番&「大フーガ」/クァルテット・エクセルシオ』

ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第13番、大フーガ

クァルテット・エクセルシオ
【西野ゆか 北見春菜(以上ヴァイオリン) 吉田有紀子(ヴィオラ) 大友肇(チェロ)】

ナミ・レコード
WWCC-7959 ¥2750(税込)