【SACD】ショパン アイズ/日置ひと美

 丁寧に作品へ対峙しようとするが余り、音楽作りがコンパクトになり過ぎてしまう若いピアニストは多いが、彼女はまったく違う。実に思い切りが良く、爽快さすら覚えさせる。だからこそ、随所に施された繊細な表現が際立つ。日置ひと美はドイツ国立エッセン・フォルクヴァング芸大で名手・河村尚子に学んだ、新進気鋭の実力派。メリハリの利いたプレイが、実に魅力的だ。ショパンの作品に幼少から親しみ、留学中にポーランドを訪れたという日置。そのデビュー盤には、様々な経験を重ねる中から深みを増した、彼女の感性を通した“唯一無二”のショパン像が投影されている。
文:笹田和人
(ぶらあぼ2022年2月号より)

【information】
SACD『ショパン アイズ/日置ひと美』

ショパン:4つのバラード、3つのマズルカop.59、夜想曲第8番、同第18番、舟歌

日置ひと美(ピアノ)

オクタヴィア・レコード
OVCT-00189 ¥3520(税込)