200年を超えて甦る、佳きウィーンの愉悦
それはベートーヴェンも聴いた響きだ。主に木管楽器を用いた管楽アンサンブル「ハルモニームジーク」は、野外等で市民が身近に楽しめることから、18世紀後半頃に大人気を博し、ベートーヴェンもオリジナル作品を書いている。そして各2本の管楽器にコントラバス等を加えた9人の編成は、豊かな表現力と柔軟性から広く好まれ、多くの作品が編曲された。その響きを21世紀のいま体感できる「N響精鋭メンバーによる管楽アンサンブル」の公演が、Hakuju Hallの『ワンダフル one アワー』で実現する。
メンバーは、オーボエの青山聖樹&和久井仁、クラリネットの伊藤圭&山根孝司、ホルンの福川伸陽&勝俣泰、ファゴットの水谷上総&森田格に、コントラバス首席の吉田秀を加えた9名。全員テレビ等で顔を知る豪華メンバーだ。その上、管の全パートが首席奏者(または首席代行)&パートナーという普段からタッグを組む顔ぶれであるのも、同形態では重要なポイント。音色や奏法が揃い、ハーモニー作り等を熟知し合った奏者たち——しかもトップ・オーケストラの——が、文字通り“息の合った”アンサンブルを聴かせてくれる。演目も、ベートーヴェンの人気作、交響曲第7番(木管が活躍)や《フィデリオ》序曲など、この編成に合う弾んだ音楽が選ばれているのが嬉しい。
柔らかく芳醇かつクリアな響きと、オーケストラにはない躍動感や愉悦感に充ち溢れ、心地よい陶酔必至の当公演。昼夜2公演から選べるし、「休憩なし1時間」なので気分も軽く、豊かな響きの会場もこの音楽に最適…とくれば、行かない手はない。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ2014年4月号から)
★6月20日(金)15:00/19:30・Hakuju Hall Lコード:35154
問:Hakuju Hallチケットセンター03-5478-8700
http://www.hakujuhall.jp