入野賞 第3回室内楽受賞作品コンサート

先駆的な作曲家の精神を引き継ぐ若手の秀作を紹介

 入野義朗は研ぎ澄まされた感性で音に鋭く対峙した作曲家であった。1980年に世を去った故人の志を継いで入野賞が創設され、今では国際的なコンクールとして定着している。

 2010年、17年と開催された室内楽部門の受賞作コンサート、3回目となる今回は入野(シュトレームング)と、その弟子で賞の選考委員も務めた藤田正典の作品(ロトス Ⅱ)に加え、第38・40回の受賞作を紹介する。受賞者はいずれも30代だが、香港出身のタクチャン・ホイ(輪…年輪)、オランダのジェシ・ブロークマン(ナロウ・ヌメラス)、フィンランドのヨウニ・ヒルヴェラ(アートメン・ヴェルク)、トルコ生まれのウトク・アシュロール(ウント)と出身地はさまざま、また緊張感の張り詰めた静寂が支配するものから、激しい躍動に満ちたものまで作風も多様だが、入野の創作に対する厳しい姿勢を反映してか、いずれも細部まで考え抜かれ未来の可能性を感じる秀作ぞろいだ。現代音楽のトップ団体アンサンブル・ノマドが各作品の本質に肉薄する。
文:江藤光紀
(ぶらあぼ2021年11月号より)

2021.11/12(金)19:00 府中の森芸術劇場 ウィーンホール
問:キーノート0422-44-1165
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