バッハの精神を求めて
「ソロ活動と作曲に専念したい」と30年にわたって在籍した名門リヨン歌劇場管弦楽団を2011年秋に退団、同年のうちに、ベートーヴェンから自作を含めた現代までの作品を取り上げた全6回の連続演奏会を開催し、大反響を巻き起こしたチェリストの津留崎直紀。今回は、彼が「青二才だった僕に、数多くの示唆を与えてくれた」と言う歴史的鍵盤楽器の先駆者・小林道夫の共演を得て、大バッハの「ヴィオラ・ダ・ガンバとチェンバロのためのソナタBWV1027〜29」全3曲と、無伴奏フルート作品から編曲した「パルティータBWV1013」を披露する。「僕自身はエポック奏法や、そういった楽器か否かという論議にはあまり関心がないし、不毛にも聞こえる」と津留崎。「先人たちが伝えたかったメッセージは、そういった論議を通り越したところにあったのだと思う。だから、今回のコンサートも、チェンバロとモダンチェロで演奏する。しかし、演奏スタイルについては、いかなる時にもおろそかにしないで弾いてきたつもり」と熱っぽく主張する。
文:寺西 肇
(ぶらあぼ2014年1月号から)
★2014年1月26日(日)・東京文化会館(小) Lコード:34955
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