年末は“インバルの集大成”で締める
今年も「第九」の公演をお知らせする時期になってきた。毎年数多くのベートーヴェン「第九」演奏会が行われるが、そのどれを選ぶか、いつも迷うという方も多いだろう。指揮者で選ぶか、あるいは歌手で選ぶか、あるいはオーケストラで選ぶか。そんな中で、そのすべてが揃っている公演として期待が高まるのがエリアフ・インバル指揮の東京都交響楽団による「第九」である。
マーラーの交響曲ツィクルスなどで圧倒的な熱演を展開してきたこのコンビ。マーラーには声楽付きの作品も多いのだが、その元祖とも言えるのがベートーヴェンの「第九」である。大作であればあるほど、インバルの熱気がオーケストラを奮い立たせる。そんな瞬間を数多く体験してきた人にとっては、この「第九」は注目すべき公演となるだろう。また、インバル未体験という方もこのチャンスを活かしてほしい。第4楽章で活躍するソリストには、澤畑恵美、竹本節子、福井敬、福島明也という日本を代表する歌手陣が揃った。合唱は二期会合唱団。オペラでの活躍も華々しく、その実力は折り紙付きだ。
インバルはプリンシパル・コンダクターとして都響を率いて来たが、その任期は今年度で終了する。音楽的な集大成の時期に入っている中での「第九」の公演には、インバルだけでなくオーケストラの側にも特別な感慨があるだろう。今年の「第九」の中でこのコンビは聞き逃したくない。
文:片桐卓也
(ぶらあぼ2013年10月号から)
都響スペシャル「第九」
★12月24日(火)・東京文化会館
25日(水)・サントリーホール
26日(木)・東京芸術劇場
ローソンチケット Lコード:34887
問 都響ガイド03-3822-0727