苦難を超えて突き詰める、美しい音色の世界
佐藤ひでこは東京音楽大学を経てポーランドに渡り、同地を拠点にロシア、カナダなど世界を巡って研鑽を積んだピアニスト。名教師でありロシア・ピアニズムの伝道者であるゲンリフ・ネイガウスや20世紀を代表するピアニストのエミール・ギレリスの孫弟子としてロシア・ピアニズムを会得し、自らの研究した奏法を結びつけて独自の奏法を編み出している。帰国直後の1995年にはフォーカル・ジストニアに羅患。21年におよぶ懸命なリハビリを経て、見事に完治。2018年の復帰リサイタルは大盛況となった。
美しい音色が高く評価されている佐藤が今回演奏するのは彼女の演奏活動の“核”ともいえるショパンのピアノ・ソナタ第2番をはじめ、シューマンの「蝶々」とブラームスの「3つの間奏曲」。いずれも高い技術と歌心、そして研ぎ澄まされた音色が求められる。常に奏法を研究し、音色に対する強いこだわりをもつ彼女だからこそ展開できる音世界をぜひ味わってほしい。
文:長井進之介
(ぶらあぼ2020年2月号より)
2020.2/27(木)19:00 東京文化会館(小)
問:プロアルテムジケ03-3943-6677
https://www.proarte.jp