次代を担うアーティストたちが繰り広げる熱いパフォーマンス
日本コロムビアの「オーパス・ワン」(Opus 1、つまり作品1)は、次世代のクラシック界を担う若手アーティストに光を当てる新レーベル。第1弾として、2019年に5人の新星たちのデビュー盤を同時リリース。同年秋シーズンからは、彼らの演奏をライヴで目の当たりにできる、Hakuju Hallとのコラボレーションもスタートした。
レギュレーションとしてCD収録曲を1曲ずつ入れながら、全員がまた別の面を見せるコンサート・シリーズ。9月の笹沼樹(チェロ)、12月の古海行子(ピアノ)に続いて、20年には1月に石上真由子(ヴァイオリン)、2月に秋田勇魚(ギター)、4月に鈴木玲奈(ソプラノ)が登場。なんと医学部で学び医師免許も取得したという石上は、悩んだ末に音楽一本に道を定めた異色の経歴の持ち主。デビュー盤のタイトル曲でもあるヤナーチェクのソナタとともにラヴェルのソナタを柱にした興味深いプログラムを聴かせる。クジラの古名の「勇魚(いさな)」というスケール大きな名の秋田のギターは、しかし繊細でしなやか。一般大学に籍を残しつつ現在パリで研鑽を積む。そして、目の覚めるような鮮やかなコロラトゥーラを駆使してすでにコンクールやオペラ、コンサートの舞台で注目すべき実績を残している鈴木は、つい最近ウィーン留学から帰国したばかり。R.シュトラウスの歌曲とオペレッタ中心のウィーン・プロに、その経験が結実するはずだ。彼らの洋洋たる新しい道を見守りたい。
文:宮本 明
(ぶらあぼ2020年1月号より)
Vol.3 石上真由子 2020.1/24(金)
Vol.4 秋田勇魚 2020.2/28(金)
Vol.5 鈴木玲奈 2020.4/21(火)
各日19:00 Hakuju Hall
問:Hakuju Hall チケットセンター03-5478-8700
https://www.hakujuhall.jp