叙情に満ちた歌曲の調べが心に響く
いま話題の歌声を、ぜひ体感してみたい。金子美香は、昨年、ワグネリアンの“総本山”であるバイロイト音楽祭への出演を果たした実力派メゾソプラノ。Hakuju Hallの人気シリーズ「リクライニング・コンサート」に登場し、仏独ロマン派の歌曲の名品を、ドイツが認めた滋味深い声と豊かな表現力で披露する。
東京音大・同大学院を経て、ザルツブルク・モーツァルテウム音楽院マスタークラスを修了。数々の登竜門で実績を重ね、新国立劇場などで重要な役柄を好演、特に《ワルキューレ》のグリムゲルデは“当たり役”で、昨年のバイロイトでも圧倒的な熱唱が、各国から訪れた聴衆を魅了した。
そんなディーヴァが、ピアノの河野紘子と共に紡ぐのは、フランス近代の才人アーンの〈リラに来るうぐいす〉や歌曲集「灰色の歌」から〈恍惚のとき〉、シューマンの「ミルテの花」から〈はすの花〉、リストの〈夢に来ませ〉ほか、選りすぐりの名旋律たち。リクライニング・シートに身を預け、極上の歌声に浸る喜びは、ここにしかない。
文:笹田和人
(ぶらあぼ2019年8月号より)
2019.9/18(水)15:00(完売) 19:30 Hakuju Hall
問:Hakuju Hallチケットセンター03-5478-8700
https://www.hakujuhall.jp/