ベートーヴェン全曲ファイナルとブラームス弦楽五重奏曲への挑戦
「関西から、理想の室内楽を追求したい」と、大阪交響楽団コンサートマスターの林七奈、元大阪響コンサートマスターで京都市交響楽団員の田村安祐美、京都市響首席ヴィオラ奏者の小峰航一、ソリストとして活躍するチェロの上森祥平と、関西ゆかりの名手たちが結成した関西弦楽四重奏団。ステージのたび、聴衆の心に残る熱演を披露する精鋭集団が、「全集」をキーワードとする2つの注目公演に臨む。
4人は2012年、京都でクァルテットとしての活動をスタートし、14年11月に「関西弦楽四重奏団」として、本格的に大阪で“旗揚げ”。以後も定期的にステージを開催し、今や活動の範囲は関西以外にも拡大。緻密かつ覇気溢れる瑞々しい演奏で、室内楽ファンを増やし続けている。
そんな4人が、数ある弦楽四重奏曲の傑作の中でも「常に基本に据えたい」と口を揃えるのが、ベートーヴェンによる全16曲。17年11月から取り組んできた2度目の「全曲ツィクルス」(全6回)が、遂に大団円へ。締め括りに置かれたのは、第16番と第14番。3月の第5回では、熱意と気迫、推進力に満ち、聴く側も一瞬たりとも気を抜けない「大フーガ」を披露しただけに、次回も“凄演”になるのは必至。
そして、12月には、ヴィオラに名手・豊嶋泰嗣を迎えて、大阪と東京でブラームスの弦楽五重奏曲の全曲演奏に挑む。弦楽四重奏に1本のヴィオラが加わるだけで、格段に豊潤の度合いを増すハーモニー。全2曲は、併演のハイドンの弦楽四重奏曲「五度」のすっきりとしたサウンドとも、好対照を成すはず。
文:寺西 肇
(ぶらあぼ2019年5月号より)
ベートーヴェン:弦楽四重奏曲 全曲ツィクルス(第6回・最終回)
2019.5/13(月)19:00 あいおいニッセイ同和損保 ザ・フェニックスホール
ブラームス:弦楽五重奏曲 全曲演奏会
2019.12/18(水)19:00 あいおいニッセイ同和損保 ザ・フェニックスホール
12/24(火)18:30 Hakuju Hall
2019.5/14(火)発売
問:KCMチケットサービス0570-00-8255
http://www.kojimacm.com/