ダマーズは2013年に85歳で没したフランスの作曲家。作風は前衛とは一線を画し、古典的な美意識を基礎にして、フランス人らしいひねりの効いた和声感覚の上に、雅びで伸びやかな旋律を展開している。その美に魅せられた若手フルーティスト寺田愛が中心となり、室内楽作品集を編んだ。時にアグレッシヴな表情も見せるピアノ(瀬尾和紀)とのデュオ曲2曲と、そこにもう一つ楽器を加えた3重奏曲3曲が収録されている。チェロが入ると響きに厚みが出、2本のフルートは互いに戯れあい、オーボエとの協奏では音色のコントラストにほのかな妖しさも漂う。全編がたおやかで贅沢な田園の奏楽だ。
文:江藤光紀
(ぶらあぼ2019年1月号より)
【information】
CD『ダマーズ:フルート作品集/寺田愛』
ジャン=ミシェル・ダマーズ:フルートとピアノのためのスケルツォ、フルートとピアノ、チェロのためのコンセールによるソナタ、2本のフルートとピアノのための三重奏曲、フルートとオーボエ、ピアノのための三重奏曲、フルートとピアノのための変奏曲
寺田愛 浅川寧(以上フルート) 金子亜未(オーボエ) 中木健二(チェロ) 瀬尾和紀(ピアノ)
レック・ラボ(録音研究室)
NIKU-9019 ¥2800+税