尾高忠明(指揮)

これまでの私と違った音を聴いてほしい

C)Martin Richardson

 2018年4月から大阪フィルの音楽監督に就任した尾高忠明。手応えは予想以上だという。
「ちょっと上出来すぎるかなと思うくらい。4月に、ブルックナーの交響曲第8番でスタートを切った(ライヴCDがリリースされた)のですが、皆さんよく弾いてくださって、3回目を終えたベートーヴェン・チクルスでは、指揮台から飛ばされるほどの音圧に驚いています。それに、私が特に大事にしているブルックナーやエルガーでは、作品に合ったいい意味での涙ぐむような浪花節が出てくるのです」
 19年1月には新コンビ初の東京公演を行う。メインは、まさにそのエルガーの交響曲第1番。尾高は同曲を「100回以上演奏し、CDも3種録音している」。
「東京の大半のオケでもやっていますが、『大阪フィルでは、また違ったエルガーの1番を聴けますよ!』と声を大にして言いたい。浪花節の良さが出た、エルガー・ファンも喜ぶ演奏になると思い、あえて1月定期で取り上げ、東京にも持っていくことにしました。この曲はロマンティシズムが魅力。そこにエルガーがよく書いているノビルメンテ=紳士らしさがあります。しかし英国人の激しさも含まれており、その粗野に近い音も面白い。しばらく遠ざかっていたので、新鮮な気持ちで大フィルと演奏できるのが嬉しいですね」
 一曲目は、武満徹の「トゥイル・バイ・トワイライト」。
「読響の委嘱作品ですが、初演後お蔵入りになっていたのを私が再演しました。とても美しい曲なので、ぜひこちらも大阪フィルの演奏で東京のお客様に聴いていただきたいと思います」
 もう一つは、神尾真由子がソロを弾くブルッフのヴァイオリン協奏曲第1番。
「『トゥイル・バイ〜』は、武満さんがドイツ・ロマン派を聴き始めてから書いた作品で、ブルッフと相性が良く、エルガーもドイツ・ロマン派から影響を受けていて、こちらとも合う。そうした関連性の妙を考えた選曲です。ブルッフは神尾さんのような音の豊かな奏者が合っていますし、少し前に共演したとき、さらに成長されていたので、今回も楽しみです」
 尾高は「大阪に部屋を借りて」大阪フィルの活動に力を注いでいる。
「大阪フィルはいま若い奏者がどんどん入っています。朝比奈先生が培われた豪快で大きなうねりをもって歌う個性に磨きをかけながら、体験を積んだベテランの奏者と優秀な若手奏者にコミュニケーションをとってもらうための良い触媒でいたいと思っています。ちなみに来年度は『合唱曲を含むブラームス・チクルス』を予定していますよ」
 首都圏のファンは、「今までの私と全然違った音を皆さんがどう思ってくださるか、とても楽しみ」と語る東京公演にぜひ足を運びたい。
取材・文:柴田克彦
(ぶらあぼ2018年12月号より)

大阪フィルハーモニー交響楽団
第524回 定期演奏会
2019.1/17(木)、1/18(金)各日19:00 大阪/フェスティバルホール
第51回 東京定期演奏会
2019.1/22(火)19:00 サントリーホール
問:大阪フィル・チケットセンター06-6656-4890
  カジモト・イープラス0570-06-9960(1/22のみ)
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