ホアキン・アチュカロ ピアノ・リサイタル

巨匠がいざなう味わいに満ちたアンダルシアへの旅

C)Jean Baptiste Millot
 今の世界で求められているのは、彼の指が生み出す音色かもしれない。新たな年には87歳を迎えるスペインの巨匠ピアニスト、ホアキン・アチュカロが繊細に織り上げてゆく、音のショール。たおやかな手触りと静かな情熱を伴って、私たちの心を優しく包み込み、温めてくれるだろう。
 バスクのビルバオ生まれ。1959年にリヴァプール国際コンクールを制して以降、ベルリン・フィルをはじめ、世界中の名門楽団と共演を重ねるなど、第一線で国際的に活躍する。80歳を越えてなお、精力的に活動を続けるのみならず、その音楽性はいっそう深化。サイモン・ラトルは「こんな音を引き出せる音楽家は、滅多にいない」と絶賛する。
 今回のリサイタルでは、まず、ショパン「24の前奏曲」全曲を披露。そして、“アラウンド・グラナダ”と題し、「アンダルシア幻想曲」ほかファリャや、アルベニス「グラナダ」とスペインの作曲家による作品に、「グラナダの夕べ」などドビュッシーを交えて。濃密かつ独特の雰囲気を湛えたアンダルシアへの旅へと、聴衆をいざなう。
文:笹田和人
(ぶらあぼ2019年1月号より)

2019.1/21(月)19:00 東京文化会館(小)
問:ヤタベ・ミュージック・アソシエイツ03-3787-5106 
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