ホルショフスキ・トリオ

巨匠の名を冠したトリオの更なる進化を聴く

C)LISA-MARIE MAZZUCCO

 20世紀を代表するピアノの巨匠の名を冠し、2011年にニューヨークを拠点に結成されたホルショフスキ・トリオ。100歳近くまで現役だったホルショフスキの最後の弟子として薫陶を受けた相沢吏江子を中心に、当時すでに活躍中だった名手二人(ヴァイオリン:ジェシー・ミルス チェロ:ラーマン・ラマクリシュナン)が加わり、結成直後から反響を呼んだ。スタイリッシュで現代的なアプローチと、温かみある室内楽の歓びを両立した演奏で、いまやアメリカの代表的なピアノ・トリオとして世界的に活動を展開しており、今秋には聴きごたえ十分の演目で来日公演を行う。
 まず濃厚なロマンと伝統的なトリオの響きを味わえる、シューマンの第1番。続いて現代作品の紹介に積極的な彼らならではの、アメリカの作曲家チャールズ・ウォリネンの難曲を。そしてメインはショスタコーヴィチの第2番。親友の死を追悼する作品ながら、戦争や自国体制の陰も浮かび上がる、懐深い傑作だ。「作曲家のメッセージが込められた人間味のある作品を、大切に演奏します」と相沢は語る。
文:林 昌英
(ぶらあぼ2018年11月号より)

2018.11/10(土)14:00 Hakuju Hall
問:Hakuju Hallチケットセンター03-5478-8700
http://www.hakujuhall.jp/