多数のコンクールで優勝、2012年にはセゴビア賞のメダルを授与され、「ギター界の女王」と称えられるグスマン。セビーリャ生まれの彼女があえて母国の名品に取り組んだアルバムは、華美にならない重めの音色、地に足がついたコードの響き、隅々まで考え抜かれた解釈で構築されている。そこにカラッとした空気感や絶妙なリズム感も妙味として絡むのは、やはりスペインの名手ならでは。スペインの光と影を感じさせる名演奏に、同国の芸術がもつ奥行きを改めて思い知らされる。全曲味わい深いが、有名な表題曲はあふれる哀愁が胸に迫り、とくに弱音の場面での寂寥の美は絶品。
文:林 昌英
(ぶらあぼ2018年7月号より)
【information】
CD『アンダルーサ/マリア・エステル・グスマン』
グラナドス:アンダルーサ、メランコリー/アルベニス:サンブラ・グラナディーナ、カプリチオ・パバーナ/タレガ:アラビア風奇想曲/リョベート:5つのカタルーニャ民謡/モンポウ:歌と踊り 第13番 鳥の歌 他
マリア・エステル・グスマン(ギター)
マイスター・ミュージック
MM-4034 ¥3000+税