徳永二男(ヴァイオリン)& 三浦文彰(ヴァイオリン)

オーケストラをバックに師弟競演のコンチェルトが実現

 師弟ヴァイオリニストの共演である。2017年にはコンチェルトの弾き振りデビューも果たし、活動の幅を広げている三浦文彰。その三浦をはじめ、数多くの若手奏者を育てつつ、自身もますます音楽を深めている徳永二男。小児がんを発症した患者たちやその家族、そして周辺の環境すべてを総合的に支援する目的で07年からスタートしたクラシック・ヨコハマ『生きる〜若い命を支えるコンサート』で、2人の共演が実現する。
徳永「実は共演すること自体が珍しく、オーケストラと一緒に演奏するコンチェルトという形では初めてです。今回はバッハの(2つのヴァイオリンのための)ドッペル・コンチェルトを演奏しますが、ソリストも含めた大きな室内楽のような曲ですから、アンサンブルがとても重要。かつてアイザック・スターンがお手本を示してくれたように、コンチェルトのソリストであってもオーケストラの奏者とのコミュニケーションを忘れず、音楽で会話をするような曲なのです。弾き振りも経験し、オーケストラをより深く理解できている文彰君だけに、共演がとても楽しみです」
三浦「17歳になったばかりの頃、宮崎の音楽祭で徳永先生にピンカス・ズッカーマンを紹介していただき、その場で熱心に指導していただいたことが忘れられません。その後はズッカーマンの弟子でもあるジュリアン・ラクリンにも師事し、ヴィオラを弾いたり室内楽をご一緒する中で、総合的に音楽をとらえることができるようになりました。徳永先生のおかげで、自分にとってはかけがえのないコネクションに出会えたのです」
 コンサートではほかにも徳永がサン=サーンスの「序奏とロンド・カプリチオーソ」を、三浦がラヴェルの「ツィガーヌ」を演奏。さらには12月に行われる『第71回全日本学生音楽コンクール』の入賞者も、お披露目演奏が予定されている(この記事をお読みの時点で決定しているはず)。次世代の期待株をいち早く聴けるのも、このコンサートの特徴なのだ(ちなみに徳永、三浦ともこのコンクールの入賞者)。
 こうしたチャリティ要素が強いコンサートの重要性についても、2人の関心は高い。
三浦「いい音楽には人が集まり、そこに熱気が生まれ、人々の心がつながるということを、これまでにも徳永先生とご一緒した東日本大震災後のコンサートなどで体験してきました。音楽の力、音楽家の可能性を知る上でも自分にとっては有意義なコンサートになると思います」
 共演は、下野竜也指揮の神奈川フィルハーモニー管弦楽団。
取材・文:オヤマダアツシ
(ぶらあぼ2018年1月号より)

クラシック・ヨコハマ 生きる 〜2018 New Year 若い命を支えるコンサート
2018.1/14(日)15:00 横浜みなとみらいホール
問:神奈川芸術協会045-453-5080 
http://yokohama.mainichi-classic.jp/