蘇る“魂”のフォトセッション
これは単なるコラボレーションではない。写真家・田原桂一とダンサー・田中泯が、長い時をかけて培って来た、魂の交流の証しである。
1971年に20歳でフランスに渡り、その光に魅了され、「光の写真家」として世界的に高い評価を受けていた田原と、強烈な独舞で己の舞踊を探求していた田中は、78年にパリで運命的な出会いをする。それ以来2人は、街と自然、光と身体が織りなす作品を、世界各地で撮りためて来た。風景に溶け込み、抗い、強烈に存在する若く精力的な田中の肢体、その内奥までをも、田原のカメラは余すところなく捉えている。
が、なぜかそれらは発表されることなく田原のもとで長い間眠っていた。昨年やっと写真集として刊行され、新しいフォトセッションも始まっていたのだが、なんと田原は今年の6月に逝去してしまったのだった。
その田原の展覧会を行う原美術館で、田中が舞う。それは鎮魂などではなく、新たなセッションとなるはずだ。
文:乗越たかお
(ぶらあぼ2017年11月号から)
2017.11/18(土)、12/23(土・祝)各日19:00 原美術館 中庭
※晴雨かかわらず実施、メールで事前予約制。詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。
問:原美術館03-3445-0651
http://www.haramuseum.or.jp/