浅草オペラ100年記念「ああ夢の街 浅草!」制作記者会見

 大正時代に一世を風靡した「浅草オペラ」の初演から今年で100年となるのを記念して、10月4日〜30日に浅草エリアの3会場で行われる「歌と活弁士で誘う ああ夢の街 浅草! 〜すべてはここから始まった〜」の制作記者会見が、6月14日に都内で行われた。
(2017.6/14 浅草東洋館 Photo:M.Otsuka/Tokyo MDE)

会見より 音楽監督・山田武彦(前列左端)と実行委員会メンバー、東京室内歌劇場の歌手陣
Photo:M.Otsuka/Tokyo MDE

  「浅草オペラ」は、1917年(大正6年)、浅草六区常磐座で高木徳子一座によるミュージカル・コメディ『女軍出征』が上演されたのが始まりと言われ、西洋のオペラ・オペレッタや、歌と踊り、芝居などを融合した一大エンターテインメントは、藤原義江などの人気歌手を輩出し、庶民の娯楽として隆盛を誇った。関東大震災の影響もあり、6年ほどで終焉を迎えるが、日本におけるオペラ、ミュージカル、レビューの黎明期にも多大な影響を与えることとなった。
 約1ヵ月に及ぶ今回のロングラン公演では、東京室内歌劇場が現存する音源や資料をもとに当時の「浅草オペラ」を再現し、さらに大正・昭和期を彩ったさまざまな歌を織り交ぜたステージを繰り広げる。音楽監督を務めるのは、洋楽受容史に造詣の深いピアニスト・作曲家の山田武彦。さらに活弁士の麻生八咫(あそうやた)が加わり、観客を100年前の熱狂へと誘う。当時人気歌手だった田谷力三の愛唱歌「恋はやさし野辺の花よ」から《カルメン》までバラエティに富んだプログラムが予定されている。メイン会場は、1世紀前の大衆芸能の雰囲気を味わうには最適な浅草東洋館(浅草演芸ホール4F)。
 会見に出席した山田は、公演への意気込みを以下のように語った。
「浅草オペラが盛んだった1920年頃は、第一次大戦の後で、社会や音楽のあり方が大きく変わりつつあった時代。欧州の音楽の情勢がすぐに日本でも反映されていた。オリジナルに忠実な部分もあるが、《カルメン》のメロディが日本風の音階に改められていたりする。今回の上演では、単に100年前を再現するだけでなく、他の時代の曲も取り入れる。お客様に聴いていただくなかで共に練り上げていき、その過程を楽しんでいただくような、今の時代ならではのステージにしたい」
 会見の最後に、山田と東京室内歌劇場の歌手陣7名が、公演で演奏予定の曲目の中から「浅草の唄は」ほか7曲を披露した。
山田武彦と東京室内歌劇場メンバーが演奏を披露
Photo:M.Otsuka/Tokyo MDE

浅草オペラ100年記念
歌と活弁士で誘う ああ夢の街 浅草! 〜すべてはここから始まった〜
10/4(水)〜10/30(月)、【全21公演】
浅草東洋館(浅草演芸ホール4F)、大黒家倶楽部(別館4F)、東本願寺慈光殿
出演:山田武彦(音楽監督)
   麻生八咫(活弁士)
   東京室内歌劇場

問:コンサートイマジン03-3235-3777
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