“歌心”が発揮されるプログラムに期待
昨年の仙台国際音楽コンクールピアノ部門で頂点に輝いたキム・ヒョンジュンは、韓国国立芸術大学で学んだのち、現在アメリカのピーボディ音楽院で学ぶ26歳。コンクールでは、小柄な身体から繰り出す生命力あふれる音が強い印象を残した。あれから1年、改めてその実力を仙台と東京でのリサイタルで披露する。
演目は、いずれもコンクール時とは異なるもの。冒頭を飾るのはモーツァルトのソナタ第2番。シューマンの「謝肉祭」に続くプロコフィエフのソナタ第2番では、彼女のはじけるような音とリズム感が存分に生かされるだろう。そして最後に置かれているのは、ショパンのソナタ第3番。作品をこう表現したいという想いをストレートに伝える演奏が魅力の彼女のこと、このロマン派のソナタの傑作も、独自の感性で伸びやかに描きあげてくれそうだ。
仙台の聴衆にとってはその成長ぶりを確認し、また東京の聴衆はその音を生で確かめる初めての機会となる。彼女の歌心が発揮されるプログラムに期待したい。
文:高坂はる香
(ぶらあぼ 2017年6月号から)
6/18(日)14:00 日立システムズホール仙台(仙台市青年文化センター)
6/22(木)19:00 浜離宮朝日ホール
問:仙台市市民文化事業団コンクール推進課
022-727-1872
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