10年ぶりの共演は期待の俊英と
5月の読響の土日マチネーシリーズに、スロヴァキアの名指揮者オンドレイ・レナルトが登場。スクロヴァチェフスキの逝去に伴う出演ながら、今や新鮮ともいうべき顔合わせが実現する。
今年75歳のレナルトは、スロヴァキア放送響、同国立歌劇場、スロヴァキア・フィルのシェフを歴任した同国の重鎮。2011年からはプラハ放送響の首席指揮者を務めている。日本では、各団体のツアーはもとより、1988〜99年に首席客演指揮者および首席指揮者を務めた新星日響とのコンビで支持を集めた。今回は、プラハ国民劇場での《売られた花嫁》などの合間を縫っての来日。
読響とは2007年以来10年ぶりの共演となる。プログラムは、ショパンのピアノ協奏曲第1番とベートーヴェンの交響曲第3番「英雄」。丁寧な彫琢の中に自然な流れと温かさを湛えた音楽で魅せる彼が、円熟味を加えた今、高い機能性と濃密なサウンドを誇る読響を振って、いかなる演奏を聴かせるのか? 実に興味深い。
ショパンの協奏曲では、アメリカの新鋭ケイト・リウがソリストを務める。1994年シンガポールに生まれ、現在カーティス音楽院で学ぶ彼女は、2015年のショパン・コンクールで第3位およびマズルカ賞を獲得。細身の身体から生み出す豊かな響きで存在を知らしめた。特筆すべきは、ショパンの地元ポーランドの審査員から圧倒的な評価を受けたこと。審査員の一人パレチニは「100パーセント、ショピニスト」と称して純粋な表現を讃えた。今回は、本場が共鳴したその演奏にじっくりと耳を傾けたい。
巨匠と俊英が相まみえる本公演は、改めて要注目!
文:柴田克彦
(ぶらあぼ 2017年4月号から)
第197回 土曜マチネーシリーズ 5/13(土)14:00
第197回 日曜マチネーシリーズ 5/14(日)14:00
東京芸術劇場 コンサートホール
問:読響チケットセンター0570-00-4390
http://yomikyo.or.jp/