新国立劇場オペラ2016/17シーズンの新制作《ルチア》が3月14日(火)に開幕する。これに先がけ6日、飯守泰次郎オペラ芸術監督、演出のジャン=ルイ・グリンダ、指揮を務めるジャンパオロ・ビザンティ、ルチア役のオルガ・ペレチャッコ=マリオッティ、エドガルド役のイスマエル・ジョルディ、エンリーコ役のアルトゥール・ルチンスキーが登壇し、制作発表会が行われた。
(2017.3.6 新国立劇場オペラパレス Photo:M.Terashi/Tokyo MDE)
■飯守泰次郎(新国立劇場オペラ芸術監督)
共同制作は元来、希望しても両劇場の時期、条件が一致せず難しいのですが、今回、モンテカルロ歌劇場との共同制作が実現したことは大変嬉しい。新国立劇場が発信するオペラをモンテカルロに集まる世界のお客様に観ていただけることは素晴らしいことで楽しみにしています。
《ルチア》はベルカント・オペラの代表作。ベルカント・オペラは“歌姫”がいないと成り立たないため、なかなか手を出すことができなかった。今回は世界のメジャー劇場を駆け巡るコロラトゥーラのスター、オルガ・ペレチャッコ=マリオッティにはウィーンでの《愛の妙薬》出演後すぐに東京に来ていただく強行軍でお願いしました。オルガさんの完璧で洗練されたコロラトゥーラを堪能していただきたい。
■ジャン=ルイ・グリンダ(演出・モンテカルロ歌劇場総監督)
技術の高さを誇るこの劇場で、日々素晴らしい経験をしていることを実感しています。モンテカルロと東京、この遠くに位置する2つの国、劇場で共同制作することは簡単な道程ではありませんでしたが、素晴らしい布陣でこの新制作を準備することができました。
演出コンセプトとして一つキーワードを挙げるとすれば19世紀の「ロマンティシズム」。ドニゼッティが作曲した時代の文化的な潮流が「ロマンティシズム」であったからです。その時代の空気を反映した演出にしたい。
ベルカントを知り尽くした指揮者ジャンパオロとオペラへの愛を共有できることは日々楽しい。愛と喜びをこめたプロダクションをお楽しみください。
■ジャンパオロ・ビザンティ(指揮)
国際的なプロダクションをここ東京で行えることを嬉しく思っています。
個人的には、イタリアのベルカントの音楽を広める大使である気分でいます。ベルカントとは得てして表面的な理解しかされていない、誤解されている嫌いがあると思うのです。つまり、一部のエレメントだけを過剰に際立たせてしまう嫌いがあるのです。
「ベルカント」とはイタリア語で「美しい歌唱」という意味。そこに神髄があるのではないか。
「ベルカント・オペラ」を指揮するときの4箇条
1)声を愛せよ
2)声を助けよ
3)声を支えよ
4)(テンポはこれだ、《ルチア》とはこれだという)押しつけをやめよ
私のルチアを歌手の皆さんに提示し、歌手が自分たちのルチアを私に与えてくれる。そこで化学反応が起こり、お互いを支え合うルチアができる。それこそが「ベルカント」。
■オルガ・ペレチャッコ=マリオッティ(ルチア役)
日本という大好きな国で新しい制作に参加できることを嬉しく思っています。日本のお客様は指揮者、演出家とともに、歌手も愛し音楽を愛してくださる。マエストロとは共演したことがありますが、みなさんすばらしいキャストです。一緒にルチアを創り上げられることがとても嬉しい。皆さんの期待に応えられるように頑張ります。
■イスマエル・ジョルディ(エドガルド役)
日本という伝統にあふれた国で、新しいプロダクションに参加できることを嬉しく思っています。ジャン=ルイの楽譜に忠実な舞台で歌えるのは幸運なことです。マエストロとは初共演ですが、特筆すべきは歌手に気配りをしてくださることで、なかなかないことです。お客様が必ずや感動してくださる作品にしたい。
■アルトゥール・ルチンスキー(エンリーコ役)
すばらしいキャスト、プロダクションに参加でき嬉しい。みなさんすばらしい芸術家であると尊敬しています。特筆すべきはオーケストラと合唱の素晴らしさ!これほどの合唱とオケを長い間聴いていません。リハーサルの進め方、音楽表現への取り組みも見事です。
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●新国立劇場 ドニゼッティ《ルチア》(新制作)〜ぶらあぼ3月号より
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●新国立劇場がグラスハーモニカのレクチャーコンサートを開催〜オペラ《ルチア》
https://ebravo.jp/archives/31821
新国立劇場オペラ2016/2017シーズン
ドニゼッティ《ルチア》
Lucia di Lammermoor / Gaetano DONIZETTI
全2部(3幕)〈イタリア語上演/字幕付〉
【共同制作】モンテカルロ歌劇場
2017年3月14日(火)18:30、18日(土)14:00、20日(月・祝)14:00、23日(木)14:00、26日(日)14:00 オペラパレス
予定上演時間:約3時間10分(休憩含む)
●指揮:ジャンパオロ・ビザンティ
●演出:ジャン=ルイ・グリンダ
●美術:リュディ・サブーンギ
●衣裳:ヨルゲ・ヤーラ
●照明:ローラン・カスタン
■ルチア:オルガ・ペレチャッコ=マリオッティ
■エドガルド:イスマエル・ジョルディ
■エンリーコ:アルトゥール・ルチンスキー
■ライモンド:妻屋秀和
■アルトゥーロ:小原啓楼
■アリーサ:小林由佳
■ノルマンノ:菅野敦
■合唱:新国立劇場合唱団
■管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
■グラスハーモニカ:サシャ・レッケルト