ベートーヴェンの初期のシンフォニーはかくも刺激的!
日本でも古楽オーケストラが定着しつつある中で、ことコンサートレパートリーに最も積極的なのは有田正広率いるクラシカル・プレイヤーズ東京ではないだろうか。2009年から東京芸術劇場を舞台に活躍するこのオーケストラは、古典派からロマン派へとレパートリーを広げながら、堀米ゆず子や仲道郁代らモダン楽器で活躍する音楽家との共演にも取り組んでいる。作品の真価を問う過去への問いと、現代に生きる音楽家たちと創る未来をともに見据えた活動は真摯で刺激的なものだ。
今回の演奏会では、結成以来5作(3〜5、7、8)を取り上げてきたベートーヴェンの交響曲から第1番と第2番を演奏する。「英雄」の存在が大きすぎるからだろうか、あまり演奏されない初期の2作だが、作曲された時代の楽器による演奏を聴けばベートーヴェンははじめから他の誰でもないベートーヴェンだった、とわかるはずだ。
そして交響曲の間に演奏されるモーツァルトのホルン協奏曲第4番は、ホルンの名手だった友人に挑むように書かれた、選ばれた名手のためのものだ。今回招かれたテウニス・ファン・デル・ズヴァルトは18世紀オーケストラなどでも活躍している現代を代表するナチュラルホルンの名手だから、まさに最適の人選だ。
モーツァルトもベートーヴェンも有田正広の指揮のもと作品そのものの姿を示すことだろう、そしてそれは古楽器演奏が古くない、いや新鮮な音楽であることを教えてくれるだろう。
文:千葉さとし
(ぶらあぼ 2017年1月号から)
2017.3/5(日)15:00 東京芸術劇場 コンサートホール
問:東京芸術劇場ボックスオフィス0570-010-296
http://www.geigeki.jp/