新国立劇場オペラ2016/17シーズンが 、10月2日、新制作のワーグナー《ワルキューレ》で開幕する。飯守泰次郎指揮、ゲッツ・フリードリヒ演出で昨年スタートした《ニーベルングの指輪》4部作の第2弾。
去る9月5日にキャスト・スタッフがあつまり、演出監修のアンナ・ケロ(フィンランド国立歌劇場)によるコンセプト説明と第1幕の稽古が行われた。
また、ゲネプロ(最終総稽古)を前に、9月26日にはBO([Buehnenprobe mit Orchester]ドイツ語でビューネンプローベ・ミット・オルケスター。オーケストラ伴奏による本舞台上での稽古)が行われた。
【アンナ・ケロによる演出コンセプト骨子】
●第1幕
フンディングとジークリンデの家は斜めに傾いていて、何かおかしい状態として作られています。つまり、何もかもがうまくいっていない状況を示しています。
●第2幕
更に状況は混乱していきます。まず装置はヴォータンの槍をイメージしています。舞台には子供用の木馬がありますが、実はベルリンのゲッツ・フリードリヒのオフィスにもあるのです。これは神であるヴォータンの子供のころを象徴するものであり、もちろんゲッツ・フリードリヒにも子供時代があった訳で、それを象徴しているのかもしれません。
つらい状態にあってヴォータンにとって唯一楽しみがあるとすれば、それは娘ブリュンヒルデとの時間。この《リング》では、父娘の関係を単なる親族という関係以上の何かとして表しています。
●第3幕
セットは飛行場のイメージです。怒り狂ったヴォータンがワルキューレたちを追い出し、ブリュンヒルデとの長く美しいシーンが始まります。このシーンの終わりで、2人は仲直りします。
が、ヴォータンは非常に苦しい・・・
フィンランドの上演ではヴォータンは客席に降りていきました。ヴォータンは娘ブリュンヒルデを失ったと同時に、自身の神性も失い去って行くのですが、それは次作《ジークフリート》におけるヴォータンが全く神的な存在ではなくなっているからなのです。
【コンセプト説明と第1幕の稽古より】
(2016.9.5 新国立劇場リハーサル室 Photo:J.Otsuka/TokyoMDE)
【BOより】
(2016.9.26 新国立劇場オペラパレス Photo:M.Terashi/TokyoMDE)
●第1幕
●第2幕
●第3幕
【関連記事】
●新国立劇場 ワーグナー《ワルキューレ》(新制作)
(文:山崎太郎 ぶらあぼ 2016年10月号から)
新国立劇場2016/17シーズン オープニング公演
リヒャルト・ワーグナー 楽劇《ワルキューレ》(新制作)
10/2(日)14:00、10/5(水)17:00、10/8(土)14:00、
10/12(水)14:00、10/15(土)14:00、10/18(火)17:00
新国立劇場オペラパレス
演出:ゲッツ・フリードリヒ
美術・衣裳:ゴットフリート・ピルツ
指揮:飯守泰次郎
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
ジークムント:ステファン・グールド
フンディング:アルベルト・ペーゼンドルファー
ヴォータン:グリア・グリムスレイ
ジークリンデ:ジョゼフィーネ・ウェーバー
ブリュンヒルデ:イレーネ・テオリン
フリッカ:エレナ・ツィトコーワ
ゲルヒルデ:佐藤路子
オルトリンデ:増田のり子
ヴァルトラウテ:増田弥生
シュヴェルトライテ:小野美咲
ヘルムヴィーゲ:日比野 幸
ジークルーネ:松浦 麗
グリムゲルデ:金子美香
ロスヴァイセ:田村由貴絵
問:新国立劇場ボックスオフィス03-5352-9999
http://www.nntt.jac.go.jp/opera