神尾真由子(ヴァイオリン) & ミロスラフ・クルティシェフ(ピアノ)

更なる深化を遂げたデュオで聴くブラームス

©大窪道治/撮影協力:ヤマハホール
©大窪道治/撮影協力:ヤマハホール
 「歯磨きするのと同じように、弾いていたい」。2007年に第13回チャイコフスキー国際コンクールを制した、ヴァイオリンの神尾真由子。楽器との付き合い方を尋ねたら、こんな答えが返って来た。そして、「何時間も集中するよりも、一日中、何となく楽器を触っている方がいい。常に触っている感覚が身に付くと、ステージに臨んでも、頭が真っ白にならずに、弓と指が勝手に走ってくれるようになるんです。練習あっての、オート・パイロット(自動操縦)ですね」と、悪戯っぽく笑った。コンクール優勝を機に一躍スターダムを駆け上がった後も、周囲の騒がしさにも自分を見失うことなく、ひたむきな研鑽を重ねてきた神尾。その音楽性と技巧は、着実に更なる深化を遂げている。神尾と同じ年にチャイコフスキー・コンクールのピアノ部門で最高位となり、互いに気心を知り尽くした名手ミロスラフ・クルティシェフの共演を得ての、デュオ・リサイタル。ブラームスのヴァイオリン・ソナタ全3曲に、じっくりと対峙する。
文:寺西 肇
(ぶらあぼ 2016年10月号から)

10/25(火)19:00 サントリーホール
問:アスペン03-5467-0081
※全国公演の詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。
http://www.aspen.jp