【CD】風に御して行き 2台のヴァイオリンとヴィオラの愉悦

中国出身の達人たちが日本で録音した、ヴァイオリン2人とヴィオラ1人の編成による作品集。研ぎ澄まされた音色がとにかく気持ち良く、低音のない響きがむしろ整ったバランスに聞こえる。それも演奏者たちの技術とアンサンブルの卓越があればこそ。少し硬質でキレのある、倍音豊かな音色がきれいにそろい、個人技も完璧な水準。モーツァルトとベートーヴェンの編曲は、古典の粋というべきすてきな作品で、大作曲家の新たな楽曲が見つかったかのような喜び。フックスのオリジナル曲は、ロマン派の和声をもちながら端正さの保たれた音楽。高弦の音を愛する人は一聴に値する一枚。

文:林 昌英

(ぶらあぼ2026年11月号より)

【information】
CD『風に御して行き 2台のヴァイオリンとヴィオラの愉悦』

モーツァルト:ディヴェルティメント 第3番 K.439b(2台のヴァイオリンとヴィオラのための編曲)/R.フックス:弦楽三重奏曲 ニ短調/ベートーヴェン:セレナード ニ長調(2台のヴァイオリンとヴィオラのための編曲)

ジェン・ウェイミン ウー・シューティン リャオ・シー(以上ヴァイオリン)
リウ・ニアン(ヴィオラ)

コジマ録音
ALM-9294 ¥3300(税込)


林 昌英 Masahide Hayashi

出版社勤務を経て、音楽誌制作と執筆に携わり、現在はフリーライターとして活動。「ぶらあぼ」等の音楽誌、Webメディア、コンサートプログラム等に記事を寄稿。オーケストラと室内楽(主に弦楽四重奏)を中心に執筆・取材を重ねる。40代で桐朋学園大学カレッジ・ディプロマ・コース音楽学専攻に学び、2020年修了、研究テーマはショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲。アマチュア弦楽器奏者として、ショスタコーヴィチの交響曲と弦楽四重奏曲の両全曲演奏を達成。