
端正なタッチと揺るぎない構成力でベートーヴェンの音楽と対峙し続けるピアニスト近藤伸子。2019年開始の「Kondo Nobuko Plays Beethoven」も8回目を迎える。
「後期ソナタへの道」と題する今回は、闊達なソナタ第25番「カッコウ」に始まり、簡潔な2楽章構成が印象的な第27番、そしてポリフォニーの充実が際立つ第28番へと歩みを進める。いずれも古典的なソナタ形式から離れ、後期様式へと踏み出してゆく作品群だ。さらに晩年の「6つのバガテル」も披露され、小さな形式に凝縮されたベートーヴェンの詩情を伝える。恒例の室内楽には、ヴァイオリンの佐藤まどか、チェロの河野文昭を迎え、親しみやすい旋律で人気の高い佳作、ピアノ三重奏曲第4番「街の歌」を演奏。思索を深めるソナタ、晩年の境地を映すバガテル、そして初期の快活なアンサンブルへ。時代を行き交いながらベートーヴェンの多面的な魅力を一望する、贅沢なプログラムだ。
文:飯田有抄
(ぶらあぼ2026年11月号より)
近藤伸子(ピアノ) ベートーヴェンシリーズ 第8回 後期ソナタへの道
2026.11/2(月)19:00 王子ホール
問 東京コンサーツ03-3200-9755
https://www.tokyo-concerts.co.jp

飯田有抄 Arisa Iida(クラシック音楽ファシリテーター)
音楽専門誌、書籍、楽譜、CD、コンサートプログラム、ウェブマガジン等に執筆、市民講座講師、音楽イベントの司会等に従事する。著書に「ブルクミュラー25の不思議〜なぜこんなにも愛されるのか」「クラシック音楽への招待 子どものための50のとびら」(音楽之友社)等がある。公益財団法人福田靖子賞基金理事。東京藝術大学音楽学部楽理科卒業、同大学院修士課程修了。Macquarie University(シドニー)通訳翻訳修士課程修了。
