名古屋フィルハーモニー交響楽団が2027.4-2028.3シーズン ラインナップを発表
音楽監督 川瀬賢太郎が登場

川瀬賢太郎

文:編集部 写真提供:名古屋フィルハーモニー交響楽団

 名古屋フィルハーモニー交響楽団は、2027.4-2028.3シーズン ラインナップを発表した。創立60周年の節目を経て、新たな一歩を踏み出すシーズンとなる。10月8日に行われた会見には、音楽監督の川瀬賢太郎、理事長の犬塚力、演奏事業部長の小出篤らが登壇した。同日、世界的に活躍するトーマス・ダウスゴーが首席客演指揮者に就任することも明らかになった。(2027年4月から3年間)

 川瀬は、来シーズンのプログラムについて「非常にチャレンジングで魅力にあふれています」と挨拶。定期演奏会の年間テーマは「ストーリー」。「先にテーマを決めるのではなく、各指揮者の希望などをもとにプログラムを組み、そこから共通する要素を見出しています。さまざまなストーリー性を持った作品が多くあります」と、多彩な演目に期待を込める。

 川瀬自身は、27年6月にフンパーディンク《ヘンゼルとグレーテル》を演奏会形式で上演する。「《ヘンゼルとグレーテル》は非常に美しい作品で、演奏時間も2時間以内と、定期演奏会にもふさわしい演目。オペラへの取り組みは自分の使命だと感じていますし、その経験がオーケストラの表現の幅を広げることにも期待しています。今後も愛知県のオペラを盛り上げるべく、継続して取り組んでいきたい」と意欲を示した。10月にはR.シュトラウス「ドン・ファン」、デ・メイのチェロ協奏曲「カサノヴァ」(チェロ:宮田大)、スクリャービン「法悦の詩」など、「色事師」をテーマにした個性的なプログラムを披露。28年2月には「変容するストーリー」をテーマに、コンポーザー・イン・レジデンスの冷水乃栄流(ひやみず のえる)による新作、ヒンデミット「ウェーバーの主題による交響的変容」、シェーンベルク編曲によるブラームスのピアノ四重奏曲第1番を取り上げる。

トーマス・ダウスゴー©️Irène Zande

 首席客演指揮者に就任するトーマス・ダウスゴーはデンマーク出身。名フィルとは2025年10月、ブルックナーの交響曲第8番で初共演。楽団員から高い支持を得たことが就任につながったという。就任披露となる28年1月には、同郷の作曲家ルーズ・ランゴーの交響曲第1番「岩礁の牧歌」を取り上げる。演奏時間約60分、100人を超える編成の大作だ。昨年の公演でコンサートマスターを務めた小川響子は、ダウスゴーについて「音楽の“横の流れ”を意識される指揮者で、私たちのサウンドを大きく変えてくださるのではないか」と期待を寄せる。

小川響子

 そして名誉客演指揮者のティエリー・フィッシャーが9シーズンぶりに登場。27年7月の定期演奏会でハイドンの交響曲第88番「V字」とマーラーの交響曲第5番を披露する。海外勢はほかにも、ミヒャエル・ザンデルリンク、アンドレアス・オッテンザマー、マティアス・バーメルトといった豪華な顔ぶれが並び、日本人では、名誉音楽監督の小泉和裕をはじめ、尾高忠明、大井駿らが登場する。
 定期演奏会以外にも、豊田市コンサートホールシリーズでは伊福部昭の「SF交響ファンタジー」を取り上げる特撮音楽特集のほか、鈴木優人の指揮でウェーバー、ハイドン、ブラームスの作品を集めた独墺プログラムが予定されている。スペシャル・クワトロでは、首席客演コンサートマスター 荒井英治による指揮者なしの公演や、川瀬によるロシアン・プログラムなどが並ぶ。「子ども名曲コンサート」は、名古屋市民会館の閉館に伴い最終回となり、「オーケストラが奏でる『これぞ“名フィル”』」と題して開催される。
 また創立60周年を機に、2027年1月には約20年ぶりとなる海外公演を実施。名古屋市の姉妹都市であるフランスのランス市とイタリアのトリノ市から招聘を受けて行われるもので、音楽を通じた国際交流と友好親善を深める貴重な機会となる。
 60周年を越え、川瀬とともに着実な歩みを進めながら、新たにダウスゴーを迎える名フィル。それぞれの指揮者が表現する「ストーリー」が、オーケストラにどのような新しい変化をもたらすのか、期待が高まる。

名古屋フィルハーモニー交響楽団
https://www.nagoya-phil.or.jp

左より:小出篤、川瀬賢太郎、犬塚力