NHK交響楽団は10月9日、2027-28シーズン(27年9月〜28年6月)の定期公演ラインナップを発表した。去る10月5日に創立100年の節目を迎えた楽団にとって、新たな100年への第一歩を踏み出すシーズンとなる。

首席指揮者として最後のシーズンを迎えるファビオ・ルイージ(28年9月からは桂冠名誉指揮者)は、7演目14公演に出演。没後200年イヤーのベートーヴェン「ミサ・ソレムニス」で27年9月、シーズンの幕開けを飾る。この数年、合唱や声楽ソロを伴う作品を多く振ってきたルイージだが、このほかにも27年11月にはブラームス「ドイツ・レクイエム」、28年5月にはマーラー「大地の歌」がラインナップされており、緻密なタクトでこれらの大作をいかに聴かせるか、期待が高まる。 前者ではユリア・クライター(ソプラノ)とマティアス・ゲルネ(バリトン)、後者ではヴィープケ・レームクール(アルト)とベンヤミン・ブルンス(テノール)と、充実した歌手陣が揃うのも魅力。 そのほか、シェーンベルクのピアノ協奏曲と「浄められた夜」、ブルックナーの交響曲第7番など、ドイツ・オーストリア音楽を軸に、幅広い時代の作品が並ぶ。 また先日の「7つの封印の書」が強い印象を残したフランツ・シュミットの作品から、交響曲第2番を最終シーズンに再び取り上げるところにも、マエストロのこだわりが感じられる。

客演陣のなかにヘルベルト・ブロムシュテットの名がないのは寂しいところだが、ベテラン指揮者たちの存在感が例年以上に感じられるシーズンとなりそうだ。名誉指揮者パーヴォ・ヤルヴィの父、ネーメ・ヤルヴィの2011年以来となる登場は、嬉しい驚き。シューベルトやチャイコフスキーなどを振る予定だが、28年4月の来日時には90歳となっている。今年7月に予定されていた日本フィルとの共演は、前年の怪我の影響で残念ながらキャンセルとなったが、母国ではエストニア国立響を振るなど、なお精力的に活動を続けている。今度こそ無事に来日を果たしてほしい。もう一人のベテランは、今年もまもなく来日が予定されている名誉音楽監督のシャルル・デュトワ。こちらも90歳を迎えたばかりだが、その音楽への情熱はいささかも衰えを見せない。 28年6月に3演目6公演に登場するが、リムスキー=コルサコフ「シェエラザード」、サン=サーンス「オルガン付き」、レスピーギ「ローマの噴水」「ローマの松」など、ひときわ華やかなデュトワらしいプログラムが組まれた。日本人ソリストたち――小菅優、上野通明、村上淳一郎(N響首席ヴィオラ奏者)との共演も楽しみだ。

常連組では、N響との関係が年々深まるトゥガン・ソヒエフが、このシーズンも3演目6公演を振る。マーラー「巨人」、ショスタコーヴィチの交響曲第10番などで、楽団から豊かな音色を引き出しながら、各声部の動きや作品全体の構造を明晰に聴かせてくれるだろう。
そのほか、2025年の初共演での快演が記憶に新しいペトル・ポペルカが、再び登壇。お国もののマルティヌーの交響曲も楽しみだが、N響を含む3楽団の国際共同委嘱作品である細川俊夫のピアノ協奏曲の日本初演は、シーズンのハイライトのひとつとなる。ソロを担うのが藤田真央であることも手伝って、大きな話題を呼びそうだ。また、2029/30シーズンからバイエルン国立歌劇場の音楽総監督への就任が決まっているポペルカだけに、もうひとつの演目、ワーグナー(マゼール編)「言葉のない《指環》」も聴き逃せない。

正指揮者の下野竜也は、ブルックナーの交響曲第8番(ハース版)という大作に臨む。 マンフレート・ホーネック、ユッカ・ペッカ・サラステ、デーヴィッド・ロバートソンといったベテラン勢のほか、2026/27シーズンからシュトゥットガルト国立歌劇場の音楽総監督に就任したばかりのニコラス・カーターの初登場、オール・メンデルスゾーン・プロでクラリネット吹き振りもあるイェルク・ヴィトマンの出演、2025年にベルリン・フィルに代役でデビューし成功を収めたディマ・スロボデニュークの2021年以来の共演にも期待が高まる。ソリストでは、エレーヌ・グリモー(ピアノ)、ルーカス・シュテルナート(ピアノ)、ジョシュア・ベル(ヴァイオリン)など、豪華な顔ぶれが揃った。
文:編集部
NHK交響楽団
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