
今年開館40周年を迎えたサントリーホールを中心に、アークヒルズ(同じく開業40周年)界隈が音楽で盛り上がる“まちの音楽祭”「ARK Hills Music Week 2026」のオープニングを飾る「サントリーホール ARKクラシックス」が、10月2日から6日まで開催され、10の公演(大ホール3、ブルーローズ7)が行われる。この音楽祭は、人気抜群の世界的ピアニスト・辻井伸行と、宮崎国際音楽祭の音楽監督としても清新な実績をあげている俊英ヴァイオリニスト・三浦文彰が、アーティスティック・リーダーを務めるのがポイント。彼らが中心となり、各公演には世界トップクラスの音楽仲間が集結する。また、全公演がアーク・カラヤン広場に設置された大スクリーンでライブ・ビューイングされるので、「世界最高峰の演奏」を気軽に楽しむこともできる。以下、今回の見どころをご紹介しよう。

右:三浦文彰 ©Yuji Hori
まず「ARK オープニング・ナイト」[公演1]は人気ソリストの豪華競演。辻井、三浦に加えて、清水和音、髙木竜馬(共にピアノ)、高木綾子(フルート)等の日本を代表する奏者たちが、とびきりの名曲を披露する。辻井が弾く「子供の情景」や、三浦×髙木竜馬、高木綾子×清水和音といったコラボも興味津々だ。

翌日は「ARK SOLOISTS1 辻井伸行《愛と情熱のピアノ》」[公演2]で開始。辻井がリストやファリャ等の名作を奏で、美しい音色と圧巻の超絶技巧をじっくりと堪能させる。次いで「ARK SOLOISTS2 森麻季《アリアと日本の歌》」[公演3]は、世界に誇る“歌姫”が人生の美しさと生きることの幸せを歌う極上のソプラノ・リサイタル。ここではモーツァルトのアリアのほか日本の名歌を味わえるのが嬉しい。さらにこの日の白眉となるのが「ARK PHILHARMONIC1《ショスタコーヴィチ》」[公演4]。辻井と三浦&著名楽団の辣腕奏者やソリストが集う豪華オーケストラが、今年生誕120年を迎えたロシアの大家ショスタコーヴィチのとりわけ明快な傑作を披露する。辻井が弾くピアノ協奏曲第2番も楽しみだし、ブラームスの交響曲等で指揮者としても巨匠然とした音楽を生み出している三浦が振る交響曲第5番「革命」への期待も大きい。

3日目は「ARK SOLOISTS3 清水和音《ショパン・コレクション》」[公演5]でスタート。日本随一の名手・清水が、ノクターンやワルツをはじめとするショパンの名品だけを聴かせる、見逃せない公演だ。その後にはゴージャスな「ARK PHILHARMONIC2《ラフマニノフ&チャイコフスキー》」[公演6]が待っている。辻井が十八番ラフマニノフのピアノ協奏曲第3番で唸らせ、三浦がチャイコフスキーの交響曲第5番で圧倒的な興奮をもたらすこの究極の公演では、ARKフィルの妙技にも注目が集まる。この日の最後は「ARK JAZZ 《松井秀太郎スペシャル LIVE》」[公演7]。才気溢れるプレイで耳を奪うジャズ・トランペット奏者・松井秀太郎が、名手揃いのカルテットでベスト・パフォーマンスを披露する。
4日目は「ARK BRASS スペシャル・ゲスト:松井秀太郎《VIVA!ジョン・ウィリアムズ》」[公演8]で華麗な響きを体感できる。福川伸陽(ホルン)をはじめとする日本最高の顔ぶれが集うブラス・アンサンブルと気鋭のジャズ・トランペット奏者が、ブラス・ファンお馴染みの名作や松井のオリジナル曲、さらにはジョン・ウィリアムズの誰もが知る代表曲を鮮やかに奏でるこの公演は、室内楽の殿堂で金管楽器の魅力を楽しみつくす超充実の一夜だ。

最終日はソリスト総出演の宴。まずは「ARK ランチタイム・コンサート《名曲の花束》」[公演9]で、辻井&三浦や、髙木竜馬、高木綾子、ユンソン(チェロ)、ARK QUARTET(ARKフィルの精鋭メンバー)らが、ランチタイムのひとときにふさわしい超名曲の数々を披露する。そしてラストは「ARK クロージング・ナイト《浄められた夜》」[公演10]。「ランチタイム〜」の顔ぶれに清水和音らを加えた最強メンバーによる室内楽コンサートが音楽祭の最後を飾る。同じく超名曲ながらこちらは「ランチ〜」よりもさらに本格的な内容。中でも三浦がヴィオラで加わるシェーンベルクの「浄められた夜」は大きな聴きものとなる。
クラシックのポピュラー作品を、人気演奏家の名技で存分に満喫できる本音楽祭。どれも足を運びたい公演ばかりだ。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ2026年7月号より)
サントリーホール ARKクラシックス
2026.10/2(金)〜10/6(火) サントリーホール
問:チケットスペース03-3234-9999
サントリーホールチケットセンター0570-55-0017
https://avex.jp/classics/arkclassics2026/
※詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。

柴田克彦 Katsuhiko Shibata
福岡県生まれ。音楽マネージメント勤務を経て、フリーの音楽ライター・評論家&編集者となる。雑誌、コンサート・プログラム、Web、宣伝媒体、CDブックレットへの、取材・紹介記事や曲目解説等の寄稿、プログラム等の編集業務を行うほか、講演や講座も受け持つなど、幅広く活動中。著書に『山本直純と小澤征爾』(朝日新書)、 『1曲1分でわかる! 吹奏楽編曲されているクラシック名曲集』(音楽之友社)。
