佐渡裕がトーンキュンストラー管弦楽団との10年間の最後の演奏に選んだのが、マーラーの“千人の交響曲”。第1部聖霊讃歌の冒頭から尋常でない音圧が迫ってくる。弱音での独唱やオケの柔らかい音がとてもきれい。フーガの声部処理もよく、平和の祈りはこの時代の我々の胸に沁みる。コーダの上行音階による圧倒的な高揚は凄まじい。第2部ファウストの情景で、独唱とオケと少年合唱の繊細で深遠な響きが聴き応え充分だ。天国でのファウストとグレートヒェンの歌もとてもきれい。神秘的な間奏に続く終結合唱は、崇高な天上の世界を現出させる。佐渡のウィーンでの活動の集大成といえるだろう。
文:横原千史
(ぶらあぼ2026年7月号より)
【information】
CD『マーラー:交響曲第8番/佐渡裕&トーンキュンストラー管』
マーラー:交響曲第8番
佐渡裕(指揮)
トーンキュンストラー管弦楽団
ウィーン楽友協会合唱団
スロヴァキア・フィルハーモニー合唱団
ウィーン少年合唱団 他
収録:2025年5・6月、ウィーン(ライブ)
エイベックス・クラシックス
AVCL-84186~7(2枚組) ¥2200(税込)


