
右:藤木大地
沖澤のどかの大活躍が続いている。常任指揮者の地位にある京都市交響楽団に加え、首席客演指揮者をつとめるセイジ・オザワ 松本フェスティバルなど、日本各地に客演。昨年はアメリカの名門ボストン交響楽団の定期演奏会を指揮したことでも話題となった。
その沖澤が、東京交響楽団の定期演奏会に初登場する。ドイツの文豪ゲーテの詩に基づく作品を集めた、文学性に満ちたプログラム。ドイツとフランスの4人の作曲家が登場する。
最初はゲーテの詩を基に、歌のない交響詩に仕立てたデュカスの「魔法使いの弟子」。幻想的で華麗なオーケストレーションをもつ作品だ。
次にグノーの歌劇《ファウスト》から、「ワルツ」と「バレエ音楽」。ゲーテの同名の戯曲を原作とするオペラのなかから、オーケストラだけで演奏する2曲を選んでいる。
続いては、ゲーテがその神童ぶりに驚嘆したことでも知られるメンデルスゾーンの序曲「静かな海と楽しい航海」。ゲーテの2つの詩に描かれた情景を、この作曲家ならではのセンスと叙情性で、美しく音にしたものだ。
締めくくりには東響コーラスが登場、ブラームスの「運命の女神の歌」と「アルト・ラプソディ」の2曲を歌う。ここまでとは一転して、人間の暗い孤独が歌われる。後者はアルト独唱のパートを、カウンターテナーの藤木大地が歌うの聴きものだ。
プログラム全体を通しての明暗の変化をポイントに、ゲーテの世界を旅してみよう。
文:山崎浩太郎
(ぶらあぼ2026年6月号より)
沖澤のどか(指揮) 東京交響楽団 第742回 定期演奏会
2026.6/27(土)18:00 サントリーホール
問:TOKYO SYMPHONY チケットセンター 044-520-1511
https://tokyosymphony.jp

山崎浩太郎 Kotaro Yamazaki
1963年東京生まれ。演奏家の活動と録音をその生涯や同時代の社会状況において捉えなおし、歴史物語として説く「演奏史譚」を専門とする。著書は『演奏史譚1954/55』『クラシック・ヒストリカル108』(以上アルファベータ)、片山杜秀さんとの『平成音楽史』(アルテスパブリッシング)ほか。
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