【SACD】if music…/ヤクブ・ユゼフ・オルリンスキ&ミハウ・ビエル

カウンターテナーとしてマルチな才能を発揮するオルリンスキ。その原点ともいえるバロックのオペラ・アリアに取り組んだアルバムだ。ピアノとのデュオという編成からもわかるように、古楽という枠に囚われず、よりモダンなスタイルのなかでこれらの音楽の普遍性を掘り起こそうという試みなのだろう。アルバム前半はパーセルのアリア。抒情がしっとりと香ってくる。フックスのカンタータを真ん中において、後半はヘンデル作品が並ぶ。一転して動きの多い、劇的で技巧的なアリアが中心となるが、「オンブラ・マイ・フ」では持ち前の滑らかさ、温かみのある歌唱で魅了する。 
文:鈴木淳史
(ぶらあぼ2026年5月号より)

【information】
SACD『if music…/ヤクブ・ユゼフ・オルリンスキ&ミハウ・ビエル』

パーセル:暫しの音楽が、汝はいかなる神ぞ(コールド・ソング)、もし音楽が恋の糧なら(第1稿)/フックス:あなたを愛するのは天のためではなく/ヘンデル:私の嘆きを聞いている者たちよ、そよ風が吹き、オンブラ・マイ・フ/J.S.バッハ:主よ 人の望みの喜びよ 他

ヤクブ・ユゼフ・オルリンスキ(カウンターテナー)
ミハウ・ビエル(ピアノ)

ワーナーミュージック・ジャパン
WPCS-13889 ¥3410(税込)


鈴木淳史 Atsufumi Suzuki

雑文家/音楽批評。1970年山形県寒河江市生まれ。著書に『クラシック悪魔の辞典』『背徳のクラシック・ガイド』『愛と幻想のクラシック』『占いの力』(以上、洋泉社) 『「電車男」は誰なのか』(中央公論新社)『チラシで楽しむクラシック』(双葉社)『クラシックは斜めに聴け!』(青弓社)ほか。共著に『村上春樹の100曲』(立東舎)などがある。
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