イェルク・デームス(ピアノ)

ウィーンの巨匠が繰り広げる多彩なステージ


 “音楽の街ウィーン”が育んだ、誇り高きピアニズム。その黄金時代の輝きと薫りを今も継承し続けている巨匠こそ、イェルク・デームスだ。80代も半ばを超えながら、いささかも音楽への探究心を失うことがないどころか、むしろ、いっそう研ぎ澄まされた凄まじいまでの集中力で、聴衆を圧倒する。そんな巨匠が再び来日し、ソロはもちろん、精鋭弦楽四重奏団や若きヴァイオリニストとのデュオまで、多彩なステージで私たちを魅了する。
 1956年のブゾーニ国際コンクールでの優勝をきっかけに、世界的な演奏活動を展開。61年の初来日以来、わが国でもお馴染みで、高い人気を誇るデームス。今回の来日ではまず、モーツァルトの第11番とベートーヴェンの第31番という、2つの名ピアノ・ソナタを軸に、ハイドン「アンダンテと変奏曲」、ブラームス「6つの小品 op.118」、シューベルト「4つの即興曲 D899」を配した“ウィーン音楽の粋”と言うべきソロ・リサイタルを開く。
 そして、カナダを代表する精鋭アンサンブル、アルトゥール・レブランク弦楽四重奏団と共演し、ブラームスの傑作・ピアノ五重奏曲を弾く。同四重奏団は、さらにベートーヴェンの第9番とショスタコーヴィチの第7番、2つの弦楽四重奏曲も披露。また、デームスが作品解釈などを教授する愛弟子でもある、ヴァイオリンの花村恵理香と、ブラームスのヴァイオリン・ソナタ第3番などで共演。バッハ「半音階的幻想曲とフーガ」などのソロも披露する。
文:寺西 肇
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年10月号から)

リサイタル 
10/27(火)19:00 あいおいニッセイ同和損保ザ・フェニックスホール
A.レブランク弦楽四重奏団との共演
11/1(日)14:00 山梨コラニー文化ホール
11/8(日)14:00 東京文化会館(小)
花村恵理香(ヴァイオリン)との共演
11/7(土)14:00 東京文化会館(小)
問:プロアルテムジケ03-3943-6677 ※11/1公演のみ
  響鳴会0551-20-7123