
右:宮田 大 ©日本コロムビア
2015年に就任した常任指揮者・高関健のもとで著しい進化を遂げている東京シティ・フィル。そこに若干異なる味を加えているのが、首席客演指揮者・藤岡幸夫である。藤岡は、同楽団の定期で自身思い入れの強い音楽を存分に披露しているが、来る8月には、その3つの柱ともいえるイギリス音楽、邦人作品、シベリウス作品を取り上げる。
まずイギリス音楽は、藤岡がとりわけ愛するディーリアスの幻想曲「夏の庭で」。柔らかな抒情味が横溢した佳品だ。これは、同楽団でこれまでたびたびディーリアスの名演を聴かせている藤岡の面目躍如たる1曲。今回も、自然を思わせる独特の情緒が耳を癒してくれるに違いない。
邦人作品は、菅野祐悟の「チェロ協奏曲〜十六夜〜」。ここでは人気・実力共に日本を代表するチェリスト・宮田大の辣腕が存分に発揮される。CMやテレビ、映画音楽等で名を成す菅野は、2曲の交響曲をはじめクラシック系の作品での成果も顕著。東京シティ・フィルの定期でもサクソフォン協奏曲とヴァイオリン協奏曲が藤岡の指揮で披露され、大きな感銘を与えている。しかもこのチェロ協奏曲、宮田が菅野に依頼し、藤岡の指揮で自ら世界初演(2021年10月)を行った作品。美しいメロディと清新な音響が共存した“ニュー・クラシック”ともいうべき音楽を、思いのこもった演奏で堪能することができる。後半は、シベリウスの交響曲第2番。ロマンティックで高揚感満点のこの名曲では、藤岡の情熱的なタクトがもたらす清新な感動が期待される。
これは、藤岡の個性が詰まった、それでいて実に多彩なコンサートだ。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ2026年3月号より)
藤岡幸夫(指揮) 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団 第385回 定期演奏会
2026.8/20(木)19:00 東京オペラシティ コンサートホール
3/11(水)発売
問:東京シティ・フィル チケットサービス03-5624-4002
https://www.cityphil.jp


