桑原志織・進藤実優がファイナル進出!――ショパンコンクール3次予選結果発表

 ワルシャワで開催中の第19回ショパン国際ピアノコンクールは、3日間にわたる3次予選の審査が現地時間16日夜に終了。協議の結果、本選に進出する11名の名前がショパン研究所のアルトゥル・シュクレネル所長から発表された。日本勢では桑原志織、進藤実優が見事ファイナル進出を果たしたが、牛田智大は惜しくも通過はならなかった。最多の人数を誇る中国勢は3名、地元ポーランドは1名が進出を決めた。当初、ファイナリストは10名の予定だったが、同点のコンテスタントがいたため、11名の選出となった。

上段左より)Tianyou Li, Eric Lu, Tianyao Lyu, Vincent Ong, Miyu Shindo, Zitong Wang
下段左より)William Yang, Piotr Alexewicz, Kevin Chen, David Khrikuli, Shiori Kuwahara

◎本選予選進出者 年齢は10/17現在/番号は本選で演奏する協奏曲
Piotr Alexewicz ピオトル・アレクセヴィチ(ポーランド 25歳)2番
Kevin Chen ケヴィン・チェン(カナダ 20歳)1番
David Khrikuli ダヴィド・フリクリ(ジョージア 24歳)2番
Shiori Kuwahara 桑原志織(日本 30歳)1番
Tianyou Li リ・ティエンヨウ(中国 21歳)1番
Eric Lu エリック・ルー(アメリカ 27歳)2番
Tianyao Lyu リュー・ティエンヤオ(中国 16歳)1番
Vincent Ong ヴィンセント・オン(マレーシア 24歳)1番
Miyu Shindo 進藤実優(日本 23歳)1番
Zitong Wang(中国 26歳)1番
William Yang ウィリアム・ヤン(アメリカ 24歳)2番

 3次予選は、ソナタとマズルカの課題を軸に、任意の作品を組み合わせた一人45〜55分の持ち時間で、20名のピアニストによる多彩なステージが繰り広げられた。実力が拮抗するなか、安定感抜群の桑原志織は、1次・2次に続いてこのラウンドでも88鍵を豊かに響かせ、確信に満ちた演奏で聴衆を惹きつけた。特にソナタ第3番の終楽章などでのダイナミックな弾きっぷりは印象深い。

桑原志織 ©Krzysztof Szlezak/NIFC

 3次予選2日目最後に登場した進藤実優は、持ち前の圧倒的な集中力で、op.56の3つのマズルカ、ソナタ第2番や「アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ」を繊細な陰影とともに描き出した。前回大会ではファイナルの一歩手前で涙をのんだだけに、本選では伸び伸びとした演奏を期待したい。

進藤実優 ©Wojciech Grzedzinski/NIFC

 3日目に登場した牛田智大は、前回大会でも演奏した幻想曲や、ソナタ第3番などで、感情の移ろいをドラマチックに表現。美しい音色も印象的だった。明暗分かれる結果となったが、4年の歳月をかけての今回の再挑戦には誰もが拍手を送らずにはいられないだろう。

牛田智大 ©Wojciech Grzedzinski/NIFC

 そのほか、星の髪飾りが目印の16歳、リュー・ティエンヤオ Tianyao Lyu(中国)の開放的でエレガントなショパン、時に独特な節回しで、ラウンドが進むごとに存在感を増している感のあるマレーシアのヴィンセント・オン Vincent Ong、レアな作品を含む凝ったプログラムで、特に小品に個性を発揮したワン・ズートン Zitong Wang(中国)、快速テンポのワルツでのセンスあふれる節回しと高度なテクニックが印象的なダヴィド・フリクリ David Khrikuli(ジョージア)など、それぞれが存分に個性を発揮したステージが続いた。

Vincent Ong ©Wojciech Grzedzinski/NIFC
Zitong Wang ©Wojciech Grzedzinski/NIFC

 韓国のイ・ヒョク&ヒョ兄弟は残念ながらここで姿を消すことになったが、体調不良で演奏順が変わり心配されたエリック・ルー Eric Lu(アメリカ)やケヴィン・チェン(カナダ)など、前評判の高かった実力者は順当にファイナル進出を決めた。

Eric Lu ©Wojciech Grzedzinski/NIFC

 現地時間10月17日はショパンの命日のミサが、ワルシャワ市内の聖十字架教会で行われる。本選は、現地時間の18日18時(日本時間19日午前1時)にアルファベットLのTianyou Li リ・ティエンヨウ(中国)からスタート。3日目にトリを飾るのが桑原志織ということになる。

 今回、ワルシャワ・フィルとの協奏曲に加え、コンクール史上初めて、本選でソロの楽曲「幻想ポロネーズ」が課題曲となっている。いずれのコンテスタントも、ソロ→協奏曲の順で演奏するようだが、おそらくオーケストラのメンバーは「幻想ポロネーズ」演奏開始の時点ですでにステージ上に待機していて、そのまま協奏曲へと移ると思われる。初の試みだけに、どのような進行になるのかも注目ポイント。なお、協奏曲は第1番が7名、第2番が4名となった。

第19回ショパン国際ピアノコンクール
2025.10/2(木)〜10/23(木) 会場:ワルシャワ・フィルハーモニー

◎本選 10/18(土)〜10/20(月)18:00(日本時間 翌日1:00)
◎入賞者披露演奏会 10/21(火)〜10/23(木)各日19:00(日本時間翌日2:00)
https://chopincompetition.pl


【Information】
第19回ショパン国際ピアノ・コンクール2025 優勝者リサイタル
2025.12/15(月)19:00 東京オペラシティ コンサートホール
2025.12/16(火)19:00 東京芸術劇場 コンサートホール

第19回ショパン国際ピアノ・コンクール 2025 入賞者ガラ・コンサート
2026.1/27(火)、1/28(水)18:00 東京芸術劇場 コンサートホール
2026.1/31(土)13:30 愛知県芸術劇場 コンサートホール

出演
第19回ショパン国際ピアノ・コンクール入賞者(複数名)、アンドレイ・ボレイコ(指揮)、ワルシャワ国立フィルハーモニー管弦楽団

他公演
2026.1/22(木) 熊本県立劇場 コンサートホール(096-363-2233)
2026.1/23(金) 福岡シンフォニーホール(092-725-9112)
2026.1/24(土)大阪/ザ・シンフォニーホール(ABCチケットインフォメーション06-6453-6000)
2026.1/25(日) 京都コンサートホール(ABCチケットインフォメーション06-6453-6000)
2026.1/29(木) ミューザ川崎シンフォニーホール(神奈川芸術協会045-453-5080)