【CD】ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第2番、ピアノ協奏曲 ニ長調/菊池洋子&山下一史&大阪響

 ベートーヴェンのピアノ協奏曲全集シリーズ第2弾。菊池洋子のウィーン風ともいえる軽やかなピアニズムと、山下一史が指揮する大阪響のどっしりと構えたサウンドが、鮮やかなコントラストを成してお互いを引き立てる。このシリーズはカデンツァも凝っているのだが、ピアノ協奏曲第2番では、イグナツィ・フリードマン作を使用。突如として華やかさを香り立たせる効果も。ヴァイオリン協奏曲からの編曲である協奏曲ニ長調では、より彫りの深い演奏になった。ピアノはさらに自由に、しかも立体的に響きを作り出し、オーケストラは内側からふつふつと沸き上がる熱気でそれを受け止める。
文:鈴木淳史
(ぶらあぼ2025年10月号より)

【information】
CD『ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第2番、ピアノ協奏曲 ニ長調/菊池洋子&山下一史&大阪響』

ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第2番、ピアノ協奏曲 op.61a(ヴァイオリン協奏曲のピアノ編曲版)

菊池洋子(ピアノ)
山下一史(指揮)
大阪交響楽団

収録:2024年8月、ザ・シンフォニーホール(ライブ)
キングレコード
KICC-1632 ¥3300(税込)


鈴木淳史 Atsufumi Suzuki

雑文家/音楽批評。1970年山形県寒河江市生まれ。著書に『クラシック悪魔の辞典』『背徳のクラシック・ガイド』『愛と幻想のクラシック』『占いの力』(以上、洋泉社) 『「電車男」は誰なのか』(中央公論新社)『チラシで楽しむクラシック』(双葉社)『クラシックは斜めに聴け!』(青弓社)ほか。共著に『村上春樹の100曲』(立東舎)などがある。
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