子どものころに「お人形さんごっこ」をして遊んだ経験をもつ人は多いだろう。ひとりで遊ぶこともあれば、親や兄弟などの家族や友人たちと何人かで遊ぶこともあったかもしれない。人形たちに役柄を与え、声色をつかいわけて演技させることで、場面と物語が生まれる。平常(たいらじょう)は、この「人形ごっこ」を拡大発展させ、ひとり芝居と融合した独自の人形劇を生み出し、子どもから大人まで、多くの人に感動をもたらしてきた、「人形劇俳優・演出家」である。東京文化会館の小ホールでは、2014年の『王女メディアの物語』に始まり、古今東西のさまざまな名作物語を独自にアレンジして上演し、好評を重ねてきた。
その最新作が、『ロミオとジュリエット』である。日本の恋人たちの愛と死を描いた近松門左衛門の『曾根崎心中』に続いて、今度はシェイクスピアの究極の愛の物語が、人形劇になる。
平の人形劇では、音楽がつねに重要な役割を果たしている。東京文化会館のシリーズでは、チェロの宮田大やギターの大萩康司、ヴィオラの田原綾子など、クラシックの殿堂にふさわしい一流の音楽家が起用されてきた。今回は、ピアノの萩原麻未が出演する。音楽構成を担う宮田が選曲した、ラヴェルやサン=サーンスなどさまざまなクラシックの名曲がピアノにアレンジされ、萩原の生演奏により、舞台を盛りあげることになる。個性豊かでカラフルな人形たちが演じる、世界で最も有名なラブストーリー。中学・高校生から大人まで、誰もが楽しめる舞台だ。
文:山崎浩太郎
(ぶらあぼ2025年1月号より)
Music Program TOKYO シアター・デビュー・プログラム
平 常 × 萩原麻未『ロミオとジュリエット』
2025.1/31(金)19:00、2/1(土)14:00 東京文化会館(小)
問:東京文化会館チケットサービス03-5685-0650
https://www.t-bunka.jp