NHK FMのラジオ番組「吹奏楽のひびき」が年末にTVで放送!ゲストには元AKB48の柏木由紀さん

公開収録に潜入レポート!

左より:上野耕平さん、中橋愛生さん、柏木由紀さん

 作曲家の中橋愛生さんと指揮者の下野竜也さんが案内役を務め、吹奏楽のもつさまざまな魅力を紹介する番組 NHK FM「吹奏楽のひびき」。11月、NHKホールでは初の公開収録となる「吹奏楽のひびき presents ドリームブラス」を行った。今回の収録は、ラジオのみならず、テレビでも放送される(Eテレ 12/29 16:00〜)。
 様々な年代に親しまれている同番組だが、現役の中高生に特に楽しんでもらいたいと、今回はいつもの放送内容とは一味変えて中高生向きの内容に。そのため会場には観客のほか、11の中学校・高等学校による現役の吹奏楽部の生徒たちの姿もみえた。

水戸博之(指揮)ぱんだウインドオーケストラ

 収録は番組のテーマ曲である酒井格「三角の山」でスタート。出演は中橋さん(学生時代はトロンボーン担当)をはじめ、サクソフォン奏者の上野耕平さん、そしてゲストには小中学生時に吹奏楽部所属だったというタレントの柏木由紀さん(トロンボーン担当)。演奏は水戸博之さん(学生時代はファゴットを担当)が指揮するぱんだウインドオーケストラ(PWO)が務めた。吹奏楽の定番曲や世代をこえて楽しめるジャンルレスなメドレー、サクソフォンの音色を存分に楽しめる作品に下野竜也さんがおすすめする曲の紹介、さらには現役吹奏楽部の部長からの質問コーナーもあり盛り沢山、ブラスファンにはまさに「夢」のようなステージが展開された。

  その中で、現状の吹奏楽部が抱える問題を解決しようとする試みも披露された。近年、少子化の影響による部員の減少のためパートが揃わず、少人数での活動を強いられている部が多々あるという。そこで中橋さんは「フレキシブルアンサンブル」という少人数でも合奏を楽しめる方法を紹介。メンバーの編成に合わせて自分たちで好みのパートを選び、組み合わせて演奏するというもの。音域が違うパートを4つほど用意し、その全パートが揃えば演奏可能であるという。最小4人から、楽器を自分たちの環境に合わせて設定するのでオリジナリティや個性を出すこともできる。
 実際に楽器の組み合わせの違いだけで曲の雰囲気がどれだけ変化するのかを、番組内では高橋宏樹作曲「ミニチュア・スイート」のワンフレーズを用いて、木管楽器中心の8人と金管楽器中心の8人、そして20人編成での演奏の聴き比べを行った。どのような違いが感じられるのかは放送をお楽しみに。

小石川淑徳学園中学校高等学校の吹奏楽部とぱんだウインドオーケストラの夢の共演

 そんな「フレキシブルアンサンブル」ですら叶わない、たった3人の吹奏楽部の夢を叶えるという企画も紹介された。小石川淑徳学園中学校高等学校の吹奏楽部だ。コロナ禍では部員が1人になってしまったり、コンクール出場はもちろん、大きな編成での合奏自体経験がないという。そこでぱんだウインドオーケストラ(PWO)が一緒に演奏することで、大編成を体験してもらうという企画。共演にあたりPWOを率いる上野耕平さんは何度も学校を訪れ、楽譜の読み方から音の出し方まで熱血指導。生徒たちも必死にくらいつき頑張って練習を重ねた。(実際の指導の様子も放送予定)。残念なことに公開収録当日は部員が1名体調不良で欠席、2名での出演となった。当日までに演奏が間に合うのかはじめは心配していたという上野さんであったが、“見守り役”として指揮し、部員たちは満員のNHKホールという晴れ舞台で堂々と演奏を披露していた。

 番組最後には中・高11校の現役吹奏楽部の生徒たちとぱんだウインドオーケストラが「宝島」を合同で演奏。若者たちのエネルギー溢れるサウンドに会場は一つとなり、明るく朗らかな曲の雰囲気も加わって、大喝采で収録を締めくくった。

中高生との「宝島」の合同演奏。エネルギー溢れる音楽に会場は大いに盛り上がった。

 吹奏楽経験者にも、そして初めて聴く方にも、様々な視点で吹奏楽の魅力を届けた「ドリームブラス」。
収録後、番組のチーフプロデューサー楠山麻衣子さんにお話を聞いた。

楠山麻衣子さん(チーフプロデューサー)

―――――今回の公開収録はテレビでも放送されるということで、「見る」視点も加わりますね。

吹奏楽の魅力である「みんなで吹く楽しさ」がコロナ禍の中高生はできなかった。
そんな声を聞く機会が多々あり、NHKホールという大きな空間で「みんなで集って一緒に吹奏楽を楽しむ」という原点を、今、皆さんとともに味わえないかというところが企画の出発点でした。今回は中高生を中心に参加してもらい、みんなで一緒に音を響かせ音楽を創る、その楽しさを「音」だけではなく、「映像」でも見てもらいたかった。また、現役世代は「吹く」だけで、なかなか「聴く」という経験が少ないこともあり、親近感を感じられる「お兄さんお姉さん世代」であるぱんだウインドオーケストラの演奏で、「聴く」ことも楽しんでもらおうと企画しました。

―――――タイトルの「ドリームブラス」にはどんな意味が込められているのでしょうか。

「吹奏楽」をもっと楽しめるということを伝えたいと思いました。今回出演した数名しかいない吹奏楽部の子たちも、プロと一緒に演奏したことによって音楽の真髄みたいなものを感じてもらえたと思います。吹奏楽の魅力をぎゅっと凝縮して、素晴らしいアーティストによる演奏で名曲を紹介する、盛り盛りの「夢」のようなコンサートということで「ドリーム」とつけました。

―――――収録を終えて、視聴者の方々にメッセージをお願いいたします!

 (参加した11校の)皆さん、とても良い表情で本当に楽しそうに演奏してくださいました。ホールの空気が揺れて大音響を作り上げる中、吹くって楽しい!みんなで吹くともっと楽しい!ということを改めて感じました。ぱんだウインドオーケストラによる名曲も、中高生の熱のこもった演奏も、まずは難しいことを考えずに楽しんで頂ければと思います。吹奏楽の「ハピネス」をみなさんにお届けできれば嬉しいです。

放送は12月29日16時より。お見逃しなく!

【Information】
吹奏楽のひびき presents ドリームブラス!
NHK Eテレ 12/29(日)16:00〜16:59
NHK FM   2025.1/12(日)、1/19(日)16:00〜16:50
NHK BSP4K 2025.2月放送予定(拡大版)