日本フィルが毎年行っている九州公演が、2025年、2月に開催される。1975年から開始され、今回で第50回という大きな節目を迎える一大イベントで、各地の市民が自主的に実行委員会を結成し、運営しているという点も特筆される。半世紀もの間、大切な企画として地元で愛され、育てられてきたのである。今回は長崎、大牟田、北九州、大分、都城、鹿児島、福岡、佐賀、熊本で9公演が行われる。
記念の回にふさわしく、首席指揮者のカーチュン・ウォンが九州公演に初帯同して、全公演を振る。ソリストはピアノの仲道郁代とチェロの宮田大という、名実ともにトップクラスの名手たちが交代で出演。ショパンのピアノ協奏曲第1番とエルガーのチェロ協奏曲で、名旋律をたっぷりと聴かせる。
日本フィル首席指揮者にカーチュン・ウォンが就任して以来、高水準かつ個性的なパフォーマンスを維持しており、目の覚めるような解釈とバランス感覚で楽曲を再構築、新たな姿を提示し続け、東京の聴衆を唸らせている。今回のツアーはムソルグスキー(ラヴェル編)の組曲「展覧会の絵」とチャイコフスキーの交響曲第5番という超名曲を用意。彼らのチャイコフスキーは筆者も聴く機会があったが、この人気作が初演かのように洗い直され、かつこれしかないと思わせる説得力で、全編が発見と興奮の連続だった。カーチュンの清新かつ緻密、求心力の強い指揮ぶりは、名曲でこそ存分に発揮される。このコンビの新鮮な熱気にあふれた演奏は、九州でも旋風を起こすに違いない。
文:林 昌英
(ぶらあぼ2025年1月号より)
第50回九州公演 日本フィル in KYUSHU 2025
2025.2/8(土)~2/19(水) 長崎、大牟田、北九州、大分、都城、鹿児島、福岡、佐賀、熊本
※公演の詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。
https://japanphil.or.jp