『レ・ミゼラブル』『ミス・サイゴン』といった大作ミュージカルに出演する一方、声楽家として活動してきた上原理生が、約10年ぶりにセカンドアルバム『Risonanze —響鳴—』をリリースする。クラシック、ミュージカル、映画音楽、日本歌曲と幅広いジャンルの楽曲が収録されており、上原のバリトン・ボイスが落ち着きとくつろぎをもたらす一枚だ。
「コロナ禍で誰とも会わなかった時期、自分を見つめ直し、やはり歌が一番大切だなと感じたんです。その前はミュージカル出演が仕事の9割を占めていましたが、もっと歌う場を増やしたいと思いましたし、大好きな映画音楽も含め、ジャンルを問わずいい曲を歌っていきたいなと。そんな中から選んだ今回の収録曲ですが、『ある愛の詩』は観ると必ず泣いてしまう映画で、メロディも大好き。コンサートで歌ってきて好評だった『オペラ座の怪人』の〈ミュージック・オブ・ザ・ナイト〉を収録できたのもとてもうれしいですね」
“響鳴”というタイトルには、「以前は演じることと歌うことを違う表現方法だと分けて考えていたのが、次第にイコールになってきた」という心境の変化もこめられている。
「こういうセリフでこう動くとか、次はこの音だからと考えることなく、演技や歌にどれだけ血を通わせられるかは、心が先行して動いているかどうかが重要。市村正親さんや大竹しのぶさんといった素敵な役者さんたちと共演を重ねることで、そんな気づきを得たように思います」
ピアノの濱野基行、チェロの有梨瑳理と共に、音響の良さでクラシック音楽家に愛される、コピスみよし(三芳町文化会館)にて収録。上原はこのホールのある埼玉県入間郡三芳町出身で、「成人式もここで参加したんです」という。
「僕の声が一番生きるのはライブ。三人でセッションしながらの録音には緊張感もありましたが、コンサートも経験してきたこのホールの響きにも助けられ、その場で聴いているような臨場感とともにお届けできたんじゃないかなと思います」
「もっと上手くなりたい。表現を突き詰め、研ぎ澄ませたい。いやなこと、課題はたくさんあるけれども、歌に関しては全然苦にならないですね」と楽しそうに語る。12月24日、25日に行なわれるクリスマスコンサートでは、東京藝術大学声楽科時代の同級生である指揮者の辻博之や先輩であるバリトンの加耒徹と共演、CD収録曲も披露する予定だ。
取材・文:藤本真由
(ぶらあぼ2025年1月号より)
上原理生 クリスマスコンサート
2024.12/24(火)18:30、12/25(水)13:30 よみうり大手町ホール
問:読売新聞東京本社 t-entertainment@yomiuri.com
上原理生フェスティバル
2025.2/22(土)、2/23(日)各日15:00 コピスみよし(三芳町文化会館)
問:コピスみよし049-259-3211
https://theatre-de-rio.com
※各公演の詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。
CD『Risonanze ―響鳴―』
妙音舎
MYCL-00055
¥3410(税込)
2025.1/24(金)発売