【CD】ラ・フォリア〜6人の作曲家によるフォリア〜/中野振一郎&コレギウム・ムジクム・テレマン

 2002年録音盤を、ブックレットも含めほぼそのまま再発。当時30代後半の中野振一郎の才気が溢れる。17~18世紀に欧州で流行した変奏曲ラ・フォリアの歴史をたどる旅。15世紀末のポルトガル起源の舞曲から、フレスコバルディ、コレルリ、A.スカルラッティ、ヴィヴァルディ、ジェミニアーニとイタリアでの流れを追う。中野のチェンバロのセンスと冴えは今聴いても新鮮で、特にA.スカルラッティの変転する楽想の描き分けが秀逸だ。そしてピリオド楽器にシフトしたコレギウム・ムジクム・テレマンを強力に牽引。20数年が経った今、現在の中野と同楽団によるこの種のアルバムも聴いてみたいと思った。
文:矢澤孝樹
(ぶらあぼ2024年12月号より)

【information】
CD『ラ・フォリア〜6人の作曲家によるフォリア〜/中野振一郎&コレギウム・ムジクム・テレマン』

フォリア ト調(作曲者不詳)/フレスコバルディ:フォリアの主題によるパルティータ/コレルリ:ヴァイオリンと通奏低音のためのフォリア/A.スカルラッティ:チェンバロのためのフォリア/ヴィヴァルディ:2つのヴァイオリンと通奏低音のためのラ・フォリア/ジェミニアーニ:コンチェルト・グロッソ「ラ・フォリア」

中野振一郎(チェンバロ)
コレギウム・ムジクム・テレマン

マイスター・ミュージック
MH-4536 ¥3520(税込)