日本フィルハーモニー交響楽団が2025/26定期ラインナップの速報を発表

 日本フィルハーモニー交響楽団は、2025/26年の定期演奏会ラインナップの速報を発表した。
 2026年に創立70周年を迎える日本フィル。この節目を契機に、従来9月から翌年7月までとなっていた定期演奏会のシーズンを、2026/27シーズンより4月から翌年3月までに変更することをあわせて発表した。25年9月から26年3月までは移行期間として位置付けられ、東京定期演奏会(サントリーホール、金曜19時&土曜14時)と横浜定期演奏会(横浜みなとみらいホール、土曜17時→15時に変更)でそれぞれ6回の公演が開催される。

 首席指揮者のカーチュン・ウォンは、シーズン幕開けの3公演に出演。9月の東京定期では、快演続くマーラーから第6番「悲劇的」を。中間楽章の演奏順やハンマーの打撃回数など、特有の問題点も持ち合わせたこの傑作を、若き大器はどのように解釈するのか。その後、9月の横浜定期では髙木竜馬(ラヴェル)、10月の東京定期では小川典子(ショスタコーヴィチ第1番)と、若手・ベテラン二人のピアニストと協奏曲で共演。前者ではマエストロが精力的に取り上げる伊福部昭から「SF交響ファンタジー第1番」も披露される。後者では交響曲第11番「1905年」とあわせて、没後50年のアニバーサリーにふさわしいオール・ショスタコ・プロになる点も見逃せない。

カーチュン・ウォン Ⓒ山口 敦

 桂冠名誉指揮者の小林研一郎は、楽団員ソリストとモーツァルトの名コンチェルトで共演。10月末&11月初めの東京定期ではアシスタント・コンサートマスターの千葉清加、ヴィオラ客演首席の安達真理と「ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲」、26年3月の横浜定期ではクラリネット協奏曲を首席の伊藤寛隆とともに取り組む。楽団と蜜月の関係にあるマエストロだからこその親密な演奏が期待できそうだ。前者ではシベリウスの第2番、後者ではベートーヴェンの第3番「英雄」と王道の交響曲が組み合わせられる。

小林研一郎 Ⓒ山口 敦

 25年4月からスタートする新シリーズ「オペラの旅」でも注目を集める、フレンド・オブ・JPO(芸術顧問)の広上淳一。26年1月の東京定期ではショスタコーヴィチの交響曲第15番に加え、作曲家としても年々存在感を増す鬼才ファジル・サイのチェロ協奏曲「Never give up」を披露。独奏にはこの曲の世界初演を果たしたフランスの気鋭、カミーユ・トマが迎えられる。

広上淳一 Ⓒ山口 敦

 客演勢も若手からベテランまで、内外から実力派が集結。22年まで日本フィル正指揮者を務め、その後もイギリス音楽プログラムで好演を重ねる山田和樹。25年11月末の東京定期では、プーランクの「スターバト・マーテル」(ソプラノ:熊木夕茉)をメインに、武満徹とラヴェルを組み合わせるこだわりのプログラムで魅せる。九響の首席指揮者として地歩を固める太田弦は、9月のリーズ国際ピアノコンクールでも注目を集めた牛田智大とショパンの協奏曲第2番で共演。他にも、唯一無二のプログラムを携え国内各地の楽壇に登場する出口大地の「第九」(12月横浜定期、ソプラノ:砂田愛梨 アルト:山下裕賀 テノール:石井基幾 バリトン:高橋宏典)や、ウィーン・フィルのヴァイオリン奏者、ヴィルフリート・和樹・ヘーデンボルクによる、J.シュトラウスⅡ世珠玉のワルツ・ポルカ集ならびにモーツァルトの協奏曲第3番の“弾き振り”(26年1月横浜定期)も。記念年を目前に控え、例年より短い期間の中に充実の公演の数々が濃縮されるシーズンとなりそうだ。

文:編集部

日本フィルハーモニー交響楽団
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